垂井(読み)タルイ

デジタル大辞泉 「垂井」の意味・読み・例文・類語

たるい〔たるゐ〕【垂井】

岐阜県南西部、不破郡の地名。美濃国府の地で、中山道宿場町。茶・干し柿を特産。

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精選版 日本国語大辞典 「垂井」の意味・読み・例文・類語

たるい たるゐ【垂井】

岐阜県南西部の地名。揖斐(いび)川の支流相川の流域にあり、江戸時代は中山道の赤坂と関ケ原の間にあった宿駅で美濃路との分岐点。干し柿・茶を特産。繊維・金属・機械工業が発達する。樽井。

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日本歴史地名大系 「垂井」の解説

垂井
たるい

中世の交通の要衝で、史料上は垂井宿としてみえることが多い。承久三年(一二二一)六月七日、京方の軍勢を安八あんぱち墨俣すのまたなどで打破った幕府軍は、この日野上のがみ宿(現関ヶ原町)・垂井宿に陣を布き軍議を開いた(吾妻鏡)。嘉禎四年(一二三八)二月一三日将軍藤原頼経は上洛の途中、垂井に泊まっている(同書)。建武元年(一三三四)鵜飼うかい(現岐阜市)一方地頭源家満は土岐頼貞の代官神戸五郎入道とともに転戦し、垂井宿で軍忠を報告している(一二月二三日「源家満軍忠状」熊谷家文書)。観応元年(一三五〇)七月には守護土岐氏一族の内紛があり、守護土岐頼康に背いた土岐道存の子周済房や舟木入道らは、足利義詮や高師直の軍勢によって鎮圧されている。このとき義詮の軍勢は垂井宿にいたらしい(「園太暦」同年八月一八日条)。文和二年(一三五三)六月南朝方によって京都を追われた足利義詮は後光厳天皇を奉じ、土岐頼康を頼って垂井宿に逃れ、小島おじま(現揖斐郡揖斐川町)を行宮とした(皇代暦・源威集・小島のくちすさみ)

垂井
たるい

現垂井町・神明しんめい町地域に比定される。垂井は垂水と同義で、泉の古語。「播磨名所巡覧図会」にも「垂水は水垂るる処にして即ち泉なり」とある。当地は出水(湧水)数が多く、とくに現大島おおしま町との境付近は水量も豊富で、水不足に悩むことはほとんどないという(加東郡誌)。地形的にはおもに加古川の沖積平野上に立地し、現神明町東部は標高約五〇メートルの段丘上に立地する。両町域には一七の小字がある(播磨国大部荘現況調査報告書)。元亨二年(一三二二)九月日の大部庄悪党交名注文案(東大寺文書)に「堤五郎垂井住人」とあるのが当地のことと思われる。

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改訂新版 世界大百科事典 「垂井」の意味・わかりやすい解説

垂井[町] (たるい)

岐阜県南西部,不破郡の町。人口2万8505(2010)。揖斐(いび)川支流の相川の扇状地が町域の南半を占め,北部には伊吹山地が広がる。東海道本線は地形の関係で,上りが垂井駅,下りが新垂井駅に分離し(1986年上り・下りとも垂井駅経由となり,新垂井駅は廃止),垂井駅前が中心集落をなす。かつて中山道と美濃路の分岐点の宿場町として栄え,一里塚(史)が残る。中京と関西を結ぶ交通の要衝にあたり,旧大垣市の西隣に位置するため機械,金属,繊維などの工場が進出している。早くから開けた米作地帯で,水田にはまんぼと呼ばれる地下水を集める横井戸がみられる。洋ラン,干しガキ,茶が特産。揖斐関ヶ原養老国定公園,伊吹山県立自然公園に属し,美濃国分寺跡,竹中氏陣屋跡,南宮神社など史跡も多い。
執筆者:

古代の不破駅の所在地は垂井とも青墓ともいわれる。下って,承久の乱に幕府軍が垂井・野上両宿に陣し,また1238年(暦仁1)将軍藤原頼経が宿泊するなど,鎌倉時代以降東山道の宿駅として発達した。南北朝時代,後光厳天皇が美濃に逃れたおり,垂井にも行宮が営まれ,室町時代には結城合戦で捕らえられた春王,安王が京への途次この地の金蓮寺で殺されている。江戸時代には,中山道の宿駅に指定され,美濃路の分岐点ともなった。この地に鎮座する南宮神社は,式内社,美濃国一宮で,鎌倉時代に北条政子,室町時代に守護土岐氏などの崇敬をうけ,関ヶ原の戦に兵火にかかったのち,徳川家光の命によって再建された。鳥居付近に5・9の日の六斎市が開かれ,門前町もできて,幕末には家数310軒余,人口約1200弱,本陣・脇本陣,旅籠屋,商人,職人などの家並みが連なっていた。
執筆者:

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事典・日本の観光資源 「垂井」の解説

垂井

(岐阜県不破郡垂井町)
中山道六十九次」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

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