模型(読み)ぼけい

精選版 日本国語大辞典 「模型」の意味・読み・例文・類語

ぼ‐けい【模型】

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デジタル大辞泉 「模型」の意味・読み・例文・類語

も‐けい【模型】

実物の形に似せて作ったもの。「機関車模型
鋳造のための原型。鋳型いがた
[類語]雛形ミニチュアモデル

ぼ‐けい【模型】

もけい(模型)

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改訂新版 世界大百科事典 「模型」の意味・わかりやすい解説

模型 (もけい)

実物に似せてつくったもの。船体の形を決めるために水槽試験に用いる船体模型,完成時の姿を見せるための建築模型,あるいは自動車などのデザインの原型となる粘土模型(クレーモデル)などもあるが,ここでは趣味としての模型をあつかう。

 一般におもちゃは多少とも実物を模倣したものであり,人形もその一つであるが,模型という言葉には,精巧な,メカニカルなものというひびきがある。16~17世紀のドイツを起源とする〈人形の家doll's house〉は,細密に仕上げた屋内に,小さな人形や家具,道具類を配置して楽しむもので,模型に含まれるであろう。帆船模型モデルシップ)も古くから行われていたと思われ,多数の帆にロープを張る複雑な作業が主眼である。酒瓶など口の狭いガラス瓶の中に帆船を入れた,いわゆるボトルシップは,長い航海中の船員の手すさびにつくられたといわれる。これはマストを倒した船体を瓶の口から入れ,ロープ(糸)を引いてマストをおこし,細長い柄をつけた道具を用いて要所をのりなどで固定しながら,最後に余分のロープを切り取るという技法を用いる。部品を一つずつ瓶の中で組み立てる方法もある。しかし,なんといってもメカニズムを楽しむ代表的なものは鉄道模型と模型飛行機であろう。また,模型自動車の一つで,ミニチュアカーと呼ばれる動かない模型はコレクションの対象として人気がある。コレクションができるという点も,模型の楽しみの大きな要素である。なお,正確な縮尺(スケール)を主眼とした模型はスケールモデルと呼ばれるが,現在はプラスチックモデルなどの出現で細部の再現も日常化している。

模型機関車の引く列車やレール,背景などを含むシステム全体を鉄道模型と呼ぶ。初期には蒸気機関によるライブ・スチームか,あるいはぜんまいを動力とするおもちゃだったが,1900年にドイツのメルクリンMärklin社,01年にアメリカのライオネルLionel社が電動モーターで駆動する模型を発売,30年代に普及するようになった。現在一般的なものはOゲージ(軌間32mm),HOゲージ(軌間16.5mm),Nゲージ(軌間9mm),Zゲージ(軌間6.5mm)などがある(表参照)。1番ゲージ(軌間45mm,車両の縮尺1/32)以上はあまり行われない。Zゲージは1972年に始められ,最小という意味でアルファベットの最後の文字があてられている。縮尺は標準軌(1435mm)に対するもので,日本の在来線の模型をつくる場合はやや大きくしてアメリカ,ヨーロッパ大陸のものとつり合いをとり,連結できるようにする。また軽便鉄道など実物の軌間が狭いものはとくにナローゲージと呼び,模型の場合はHOゲージの寸法でつくった車両をNゲージのレールで走らせるとバランスがよい。この例をHOナローと呼ぶ。電気はレールから供給するのが一般的で,Oゲージは中央に第三軌条をもつ交流運転が簡単なため多用されるが,他は直流運転である。ただし,メルクリン式HOはまくら木中央に第三軌条の役割をする接点があり,交流運転である。鉄道模型の楽しみは,車両の製作,レールの配置(レイアウト),風景(シーナリー)の構成,列車の編成,そして運転というように多岐にわたっている。また,実物の蒸気機関車と同様の機構を備え,石炭をたいて走るライブ・スチームはその迫力で根強い人気がある。1853年(嘉永6)ロシアの使節プチャーチン,翌54年(安政1)再来日したアメリカのペリーがそれぞれ徳川幕府に献上した模型機関車もライブであった。日本の鉄道開通は1872年(明治5)だから,実物があとということになる。

飛ばすことを目的とした模型の場合,まず安全に飛行できることが条件となり,その原理は実物とほとんど変わらない。模型飛行物体に関する記録や規則は,実物と同様に国際航空連盟(FAI),日本航空協会が管理している点も特色の一つである。模型飛行物体を動力別に分類すると,動力なしのグライダー,ゴム動力,内燃エンジン,電動モーター,ジェット,それに固形燃料ロケットがある。また操縦方法により,手から放せばあとは飛ぶにまかせる自由飛行,ピアノ線をつないで操縦する円周飛行,ラジコンによる操縦がある。バルサ材,竹ひご,紙などを用いてつくるゴム動力飛行機は,簡単な構造で手軽に楽しむことができるが,その一種の室内機はきわめて軽量で,フェザープレーンなどと呼ばれ,滞空時間を競う。国際規格室内機は翼長65cm以内,ゴムなしの機体重量1g以上とされ,一般にマイクロフィルム(ラッカーとヒマシ油を混合し水面に流してつくる)を張る。50分以上飛行した記録がある。現在の日本ではエンジン付ラジコン機に人気があるが,決められた地点を旋回してスピードを競うパイロンレースなどは行われていない。代表的な模型用エンジンはグローエンジンglow plug motorで,メタノール80%,潤滑油20%程度の混合燃料を使用し,規格では一般機種で気筒内積2.5cm3以下である。ラジコン式グライダーはゴムロープまたはウィンチによって発進させ,熱上昇風に乗せて滑空させるもので,thermal soaringと呼ばれる。ロケットは東ヨーロッパを中心に盛んになりつつある新しい模型で,総重量0.5kg以下,燃料125g以下と定められている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「模型」の意味・わかりやすい解説

模型
もけい
model

実物の形を模してつくったもの。多くは実物を縮小してつくった雛型(ひながた)で、玩具(がんぐ)から建築見本まで、さまざまな用途につかわれる。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「模型」の意味・わかりやすい解説

模型
もけい
model

既存の,あるいは計画予定の対象物 (実物) の立体的特性を明示するために,実物に似せて作ったもの。対象の特性を,視覚を通じてすみやかに伝達できる点に第一義的価値がある。模型は,学問,産業の各分野において,実験,展示,教育などの多様な用途をもつ実用的なものと,置物,あるいは製作過程を楽しむ人々の趣味の対象となるものとに大別される。また拡大模型,実物大模型,縮小模型の3種に分類され,用途に応じて使い分けられる。古代エジプトや古代中国で,副葬品として用いられて以来の長い歴史をもち,学問,産業の発展に呼応して,現在では,いよいよその重要性を高め,材料および装置の開発も進められている。

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普及版 字通 「模型」の読み・字形・画数・意味

【模型】もけい

かた。

字通「模」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の模型の言及

【モデル】より

…人は,この意味でのモデルに基づいて,何かを作るわけである。いま一つは,プラスチックモデルで代表されるようなモデルであり,これはいわば〈模型〉としてのモデルである。この場合には,人は,何かに対してそのモデルを作るわけである。…

※「模型」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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