商売往来(読み)しょうばいおうらい

精選版 日本国語大辞典 「商売往来」の意味・読み・例文・類語

しょうばいおうらい シャウバイワウライ【商売往来】

[1] 江戸前期の往来物一冊。堀流水軒著。元祿七年(一六九四)刊。商売に必要な知識教養商人への教訓を記した教科書。明治初めまで広く使われ、多く類書を生み出した。
[2] (一)から始まる往来物の一ジャンル。江戸時代、商売に関係する事柄を列挙したもの。
東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉初「酒肆(〈注〉さかや)の丁稚と雖も、商売往来を閲(けみ)して」

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デジタル大辞泉 「商売往来」の意味・読み・例文・類語

しょうばい‐おうらい〔シヤウバイワウライ〕【商売往来】

往来物の一。江戸時代、商売に関係した事柄を書いたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「商売往来」の意味・わかりやすい解説

商売往来
しょうばいおうらい

往来物の一種で、手習師匠堀流水軒の作。1694年(元禄7)上梓(じょうし)されたものが最古とされている。商業活動に必要な知識・技術ならびに生活心得などを内容としている。寺子屋の教科書として、商人をはじめ職人農民子弟にも広く用いられた。庶民生活の商業化の促進によって、『増続商売往来』などの類書も輩出し、産業関係往来物の発展のうえに大きな影響を与えた。

[利根啓三郎]

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百科事典マイペディア 「商売往来」の意味・わかりやすい解説

商売往来【しょうばいおうらい】

往来物一つ。1693年京都の寺子屋師匠堀流水軒の発案に始まるといわれる。当時の商業に関連する事項を細大もらさず記述し,商人の心得を説いたもの。類書および改編本,数十冊に及び,実業科往来物の発展に大きな影響を与えた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「商売往来」の解説

商売往来
しょうばいおうらい

江戸時代の実業系の往来物。1694年(元禄7)初刊。その後,版を重ね広く普及した。大坂の書家兼作家堀流水軒(りゅうすいけん)の作。内容は帳簿貨幣をはじめ,商品として扱われる品物全般にわたる。「名頭と江戸方角と村の名と商売往来これでたくさん」といわれたように,寺子屋へ通う子供の基本的な教育内容となっていった。またその後発行された農業系や手工業系の往来物のモデルともなった。「日本教科書大系」所収。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「商売往来」の意味・わかりやすい解説

商売往来
しょうばいおうらい

江戸時代につくられた往来物の一つ。商人生活に必要な日常用語などを収録した,読み書きの代表的教科書。

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