ならい(読み)ナライ

デジタル大辞泉 「ならい」の意味・読み・例文・類語

ならい〔ならひ〕

冬に吹く強い風。海沿いの地でいい、風向き地方によって異なる。ならい風。 冬》「夕―一トきは月のほそりかな/万太郎

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精選版 日本国語大辞典 「ならい」の意味・読み・例文・類語

ならい ならひ

〘名〙 冬に山並みに沿って吹く強い風。その地方により風向が異なる。ならいかぜ。ならいこち。ならえ。《季・冬》
俳諧・誹諧之連歌(飛梅千句)(1540)墨何第一〇「日も夕なぎにまぢなひやせん 山かぜのはげしくきぶくならひきて」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ならい」の意味・わかりやすい解説

ならい

東日本の海沿いの地方で吹く北寄りの風。山脈走行に平行して吹くというのが語源であろうとされている。したがって、地域によって風向が違ってくる。北西風――千葉県、茨城県、北風――千葉県、東京都の伊豆大島三宅(みやけ)島、八丈島および神奈川県、大分県、北東風――東京都の三宅島、千葉県、静岡県、愛知県、三重県、東風――静岡県、愛知県、南西風――岩手県などである。ならいは山や地方の名をとって、「筑波(つくば)ならい」「下総(しもうさ)ならい」などということもある。「ならいが吹くと霜柱が融(と)けぬ」といった俚諺(りげん)もあるが、この風のときは海上は比較的静穏で漁師や舟人には喜ばれている。俳諧(はいかい)では冬の季語

根本順吉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ならい」の意味・わかりやすい解説

ならい

北西からの冬の季節風をさす風の地方名で,東日本の太平洋側(三陸海岸から紀伊半島東側まで)の各地で知られている。同じ冬の季節風でも近畿地方以西では「あなじ」,日本海側の富山県以北では「たまかぜ」という。

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百科事典マイペディア 「ならい」の意味・わかりやすい解説

ならい

東日本の太平洋側で吹く冬の季節風。峰々の側面に平行して,すなわちならって吹く。

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世界大百科事典(旧版)内のならいの言及

【風】より

…冬に北日本の日本海側で吹く北寄りの風。 ならひ〈ならい〉ともいう。東日本の太平洋側で吹く冬の季節風。…

※「ならい」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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