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アサ(麻)
アサ
Cannabis sativa; hemp
クワ科の一年草。独立させてアサ科とすることもある。現在では熱帯,温帯に広く栽培されている。草丈は 3mにも及び,稜があって茎の断面は四角形。葉は茎の下部では対生するが,上部では互生に変る。長い葉柄のある掌状複葉で,小葉は3~11枚,あらい鋸歯があり裏面に細かい毛が密生する。雌雄異株で,夏に開花する。種子は 30%ほどの油を含み,食用や鳥の飼料などに用いる。茎から繊維をとり,昔から麻糸とし,また織って布として使われている。葉や花に麻酔物質 (カンナビンなど) を含み,マリファナをつくるほか,精製して鎮静剤,睡眠薬などをつくる。特にインド産のものが含量が多い。原産地は中央アジア,あるいは旧ソ連南部あたりといわれる。中国では『詩経』などにその名称が出ている。エジプトでは前 5000年頃にすでにあったといわれ,ヨーロッパでも新石器時代には用いられていた証拠がある。日本では弥生時代の遺跡 (たとえば登呂遺跡) などから発見された。その後も麻は重要な衣料として用いられている。アマ (亜麻)やラミーと区別するため大麻 (タイマ) という。
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