ジュート(その他表記)jute

翻訳|jute

デジタル大辞泉 「ジュート」の意味・読み・例文・類語

ジュート(jute)

ツナソ繊維。袋・ズックなどに用いる。
[類語]羊毛純毛ウールカシミアモヘア木綿綿めん純綿真綿まわたコットン本絹正絹しょうけん人造絹糸シルク化学繊維

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精選版 日本国語大辞典 「ジュート」の意味・読み・例文・類語

ジュート

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] jute ) 綱麻(つなそ)から得られる繊維。漂白が困難で、抗張力が弱い。包装布、袋地、敷物などに用いる。原料の綱麻を呼ぶこともある。
    1. [初出の実例]「雪沓とジュートの脚絆 白樺は㷔をあげて 熱く酸っぱい樹液を噴けば」(出典:北上山地の春(1924)〈宮沢賢治〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「ジュート」の意味・わかりやすい解説

ジュート
jute

麻袋などの粗布に広く利用される,強く紡績しやすい植物性の靱皮繊維,およびこの繊維をとる植物の総称。繊維はツナソCorchorus capsularis L.(コウマ黄麻)ともいう。英名white jute)とシマツナソC.olitorius L.(タイワンツナソともいう)の2種のシナノキ科一年草から採取されるが,前者の方が品質がよくて収量も多いので広く利用される。

 ツナソは,インドあるいは中国の熱帯地域が原産と考えられ,古くから栽培されていた。ヨーロッパに知られたのは18世紀末。インドで栽培が盛んになったのはイギリスで工業的にジュートが多用されるようになった19世紀後半からである。ツナソは茎がまっすぐに3~4mの高さに伸び,先端近くで枝分れする。葉は互生し,葉身の長さ5~20cm,幅2~8cm,先がとがり,基部に葉耳と呼ばれる1対の針状の付属物がつく。葉柄は1~2cm,1対の托葉がつく。花は5弁で黄色,径8mmほど。葉のつけねに2~3花咲く。蒴果(さくか)は球形で直径1~2cm,中に40~50個の褐色の種子がはいる。それに対し,シマツナソは,蒴果は円筒形で長さ5~10cm,種子は暗緑青色である。より乾燥した場所で栽培され,草丈が低く,茎がよく分枝するため,採取される繊維の質は劣る。

 ジュートは,亜熱帯を中心に,熱帯から温帯にまで広く栽培されており,主産国はインドで,これにバングラデシュ,中国,タイが続くが,最近はブラジルでの栽培も多くなった。栽培は2~5月に,よく耕起した畑に種子をまく。まっすぐで良質な繊維を得るために,株間は10~15cmと密植し,枝分れを抑える。播種(はしゆ)後100~120日たって開花期になったら,茎を地ぎわから刈って収穫する。茎から皮をはぎ乾燥した粗麻と,生茎を1~2週間水に漬けてから皮部の繊維だけをはぎ採り,天日に干した精麻とがある。繊維は他の麻類ほどじょうぶではないが廉価なので,大部分は麻袋(いわゆる南京袋)として農産物などの包装用にされる。また,リノリウムの地布や,じゅうたんの芯などにも利用される。両種とも若芽や葉を野菜として食用にされ,また強壮作用があると信じられていて,中国では種子や葉を薬用にもする。
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百科事典マイペディア 「ジュート」の意味・わかりやすい解説

ジュート

コウマ(黄麻),ツナソとも。中国あるいはインド原産とされる繊維作物で,シナノキ科の一年草。茎は紅〜黄緑色で高さ1.5〜3m。葉は披針形で長さ10〜20cm,縁には鋸歯(きょし)がある。花は黄色5弁。開花後,茎をそのまま,あるいは皮をはがして水に浸し繊維をとる。袋,下級敷物,ひもなどにするが繊維は水に弱く,耐久性もない。主産地はインド,バングラデシュなど。
→関連項目アサ(麻)アマゾナスイチビエスパドリーユケナフ植物繊維繊維作物ネグロ[川]モロヘイヤ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュート」の意味・わかりやすい解説

ジュート
じゅーと
jute

織物原料の一つで、黄麻(こうま)の粗皮(あらかわ)を浸水分解し、紡績用繊維としたものをさすが、単に原料をジュートとよぶこともある。原産地は中国といわれるが、おもな産地はインド、パキスタンにあり、日本でも多少栽培されている。繊維は褐色あるいは緑色を帯び、一種の光沢があるが、繊維質は弱く、漂白が困難であるため、しだいに変色して繊維の強さが弱くなることがある。これを織物にして帆布、雨覆い、包装に用いる。

[角山幸洋]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュート」の意味・わかりやすい解説

ジュート
jute

黄麻 (こうま) ともいう。シナノキ科のツナソ (綱麻),シマツナソ Corchorus olitoriusの通称名で,またこれからとる繊維の名でもある。

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世界大百科事典(旧版)内のジュートの言及

【アサ(麻)】より

…また,広義にはタイマに類似した靱皮繊維を採る植物,およびその繊維の総称でもある。アサと呼ばれる植物には,タイマ(アサ科)のほかに植物学的には直接的な類縁がないチョマ(苧麻,カラムシ),ボウマ(莔麻,イチビ),コウマ(黄麻,ジュート,ツナソ),アマ(亜麻),ケナフ(洋麻)などがある。タイマと同様これらの茎の表皮のすぐ下の部分(靱皮)から繊維が採れる。…

【麻織物】より

…おもなものに亜麻(フラックス。織ったものをリネンと呼ぶ),苧麻(ちよま)(ラミー,カラムシともいう),大麻(ヘンプ),黄麻(ジュート,つなそともいう),マニラ麻,サイザル麻などがある。麻類はそれぞれ相違はあるが,多くは繊維細胞が集まって繊維束を形づくっており,繊維束の繊維素以外に表皮や,木質部,ゴム質,ペクチン質などを含有しているので,より細かく分繊して糸にし織物にするのが良く,ロープ,紐類などは繊維束をそのまま撚り合わせて使用する。…

【バングラデシュ】より

…輸出加工区の拡大と新設をシェイク・ハシナ政権は打ち出しているが,そのためにも政情の安定が重要な要件となる。 輸出構造は,ジュートおよびジュート製品が突出していた独立時とは様変りし,1980年代から90年代を通じて急成長した縫製品の輸出が全輸出の53%を占める。それに続くのが,それぞれ全輸出の10%を占める冷凍食品と最近急成長したニット製品,それに息を吹き返してきたジュート製品である。…

※「ジュート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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