タイマ(大麻)(読み)タイマ

百科事典マイペディア 「タイマ(大麻)」の意味・わかりやすい解説

タイマ(大麻)【タイマ】

アサ科一年草。中央アジア原産。高さは温帯では1〜3m,熱帯では6mに達する。茎は方形で直立,3〜9枚の小葉からなる掌状の複葉をつける。花は夏につく雌雄異株の風媒花で,雄花は総状,雌花は枝の先端に近い葉脈に穂状につく。種実は3mmほどのやや扁平な球形,灰褐色から黒色でかたい。春に播いて夏に茎を収穫。茎に水湿を与えて発酵させたのち剥皮(はくひ)して繊維をとる。繊維は織物蚊帳(かや),ロープ,漁網に用い,皮をはいだ茎は苧殻(おがら)と呼ばれ,おの際に迎え火・送り火をたいたり,供え物に添える箸とされる。種実は調味料のほか,その油をセッケン,ペイント等に用いる。またインドタイマの花房や葉からはマリファナmarihuanaなどの麻薬をとる。しばしばクワ科に所属させられるが,托葉が相互に合着しない,種子胚乳がある等の理由でアサ科としてまとめられ,クワ科からは区別される。→大麻中毒大麻取締法
→関連項目アサ(麻)幻覚薬植物繊維繊維作物麻薬

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版 「タイマ(大麻)」の意味・わかりやすい解説

タイマ【タイマ(大麻) hemp】

中央アジア原産のアサ科の一年草(イラスト)。古い時代から繊維を採るために栽培されてきた。単にアサとも呼ばれる。前20世紀には中東地域で栽培され,紀元前ヨーロッパや中国に伝わった。とくに中東ではハシーシュの名で広く知られる。日本には中国から渡来したとされ,弥生時代にはすでに栽培されていたらしい。インド,中国,ロシアが世界の主産国。 葉は,細長い楕円形の小葉が3~9枚掌状に集まる複葉で,長い柄がある。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイマ(大麻)」の意味・わかりやすい解説

タイマ(大麻)
タイマ

アサ(麻)」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典内のタイマ(大麻)の言及

【幻覚薬】より

…現在,幻覚薬の作用をもつとして知られている植物はほぼ100種にのぼり,その多くは新大陸で最近になって発見されたものである。ただし旧大陸においてもヨーロッパのマンドレークmandrake(Mandragora officinarum,ナス科)や熱帯アフリカのイボガiboga(Tabernanthe iboga,キョウチクトウ科),中近東のハシーシュ(Cannabis sativa,クワ科),シベリアのベニテングタケ(テングタケ)など,いくつかの植物が知られている。新大陸では,メキシコのオロリウクイ,聖なるキノコ(シビレタケ属,ヒカゲタケ属,モエギタケ属などに属するキノコ),サボテンの1種であるペヨーテ,北アメリカから南アメリカにかけて用いられるナス科のダツラDatura属やソランドラSolandra属の植物,アマゾニア地方で用いられているヤヘーyajé(Banisteriopsis caapi,B.inebriansなど,キントラノオ科)やマメ科のアナデナンテラAnadenanthera属,ニクズク科のビロラVirola属の植物がある。…

【アサ(麻)】より

…狭義にはタイマ(大麻)の別称であり,それから採れる繊維をもさす。また,広義にはタイマに類似した靱皮繊維を採る植物,およびその繊維の総称でもある。…

【麻織物】より

…天然の植物繊維である麻を使った織物。麻の種類や幹,茎,葉など採取する部分の相違によって種類,製法もきわめて多く,性能,用途も異なる。おもなものに亜麻(フラックス。織ったものをリネンと呼ぶ),苧麻(ちよま)(ラミー,カラムシともいう),大麻(ヘンプ),黄麻(ジュート,つなそともいう),マニラ麻,サイザル麻などがある。麻類はそれぞれ相違はあるが,多くは繊維細胞が集まって繊維束を形づくっており,繊維束の繊維素以外に表皮や,木質部,ゴム質,ペクチン質などを含有しているので,より細かく分繊して糸にし織物にするのが良く,ロープ,紐類などは繊維束をそのまま撚り合わせて使用する。…

【向精神薬】より

…脳に作用する薬は麻酔薬,解熱鎮痛薬,抗痙攣(けいれん)薬などたくさんあるが,選択的に精神状態に影響を与える薬全体を向精神薬という。したがって,精神病を治す薬はもちろん,精神異常を起こさせるものまでをも含む。
[向精神薬の歴史]
 精神病を薬で治したという最も古い記録はギリシア神話にみられる。プロイトスProitosの娘たちが女神ヘラの怒りにふれて精神異常になったとき,予言者メランプスがヘリボリと称する薬を飲ませ,アルカディアの泉で水浴びさせてこれを治した,という。…

【嗜好品】より

…また,タバコの汁も南アメリカでは宗教的行事のさいに飲まれることがある。古代西アジアで用いられた特異な催酔物として,タイマ(大麻)の実の煙がある。アメリカ・インディアンの部族には,アカシアの1種の実からパリカという嗅ぎタバコの一種をつくるものがある。…

【麻薬】より

…しかしその後,組織的密輸入や不正取引等が増加し取締強化が必要となったため,53年の改正において,同法の罰則が大幅に強化されるとともに,麻薬中毒者の治療のための措置入院制度が設けられた。この間,大麻に関してはタイマの栽培を免許制のもとで認めるため,1947年に大麻取締規則(1947年の厚生・農林省令)が,48年にはこれを廃止して大麻取締法(1948公布)が制定され,狭義の麻薬とは別個の規制を受けることになった。また,アヘンに関しても54年に〈あへん法〉が麻薬取締法から分離独立して制定されている。…

【薬物代謝】より

…薬物はおもに疾病の治療や予防の目的で服用されるが,薬物を受け入れる生体側は,薬物を異物とみなし,生体から速やかに排出しようとする。薬物のほとんどは尿中に排出されるが,糞便中や肺や皮膚などからも排出される。一方,薬物が高い脂溶性を有する場合は,腎臓の尿細管で再吸収されるので,尿中には投与した形の薬物としてはほとんど排出されない。この場合,脂溶性の高い薬物は,生体内の種々の酵素系によって腎臓から排出されやすい形,すなわち水溶性が大きくなる方向に極性化される。…

※「タイマ(大麻)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

インボイス

送り状。船荷証券,海上保険証券などとともに重要な船積み書類の一つで,売買契約の条件を履行したことを売主が買主に証明した書類。取引貨物の明細書ならびに計算書で,手形金額,保険価額算定の基礎となり,輸入貨...

インボイスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android