一枚(読み)イチマイ

デジタル大辞泉 「一枚」の意味・読み・例文・類語

いち‐まい【一枚】

紙・板・貨幣など、平たく薄いものひとつ。→
田の一区画。
役者看板は一人1枚に書くところから》ある役割を引き受ける一人。「若手一枚加える」
多く一枚上」の形で、副詞的に用いる)技術能力などの一段階。一段。「相手のほうが一枚上手うわてだ」

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精選版 日本国語大辞典 「一枚」の意味・読み・例文・類語

いち‐まい【一枚】

〘名〙
① 紙、布、衣服、板、貨幣、敷物、魚、楯など薄くて幅の広いもの一つ。
※延喜式(927)一「八座置各一束、楯一枚」
② 針、錐(きり)など細長いもの一つ。
※延喜式(927)四「四月九月神衣祭〈略〉長刀子一枚、短刀子、錐、針、鉾鋒各十六枚」
古来金貨銀貨を数えるのに用いた語。時代によりその説を異にしている。
※史記抄(1477)七「賀銭万は十貫なり。実は一枚も不持してかいたぞ」
田畑の一区画。
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)白川の関「田一枚植て立去る柳かな」
⑤ (形動) 平面状に一続きになっていること。また転じて、同じ事態が一面にいきわたっているさま。
※大和物語抄(室町中)上「心は世界一枚なれば、かれうごけばこれもうごく也」
※玉くしげ(1789)「抑天地は一枚(イチマイ)にして、隔(へだて)なければ」
⑥ 考えや行動を同じくすること。
※政談(1727頃)四「其仲間は遠国と通じて一枚なる者にて」
⑦ (相撲や役者の番付、看板で、ひとつに一人を書くところから) 一人。ある仕事や役割を行なう一人。また、その役割ひとつ。
洒落本・仇手本(1801)一「ほかのものをよばず、ここはそれ一まいで」
批評敗北(1931)〈杉山平助〉「即ち出版者といふものの役割が一枚加はってゐて」
商品取引所における売買単位。たとえば小豆四〇俵、人絹糸一〇〇〇キログラムなど。〔新時代用語辞典(1930)〕
才能力量などの一段階。
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「古藤さんも手紙の上では一枚がた男を上げてゐますわね」

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