(読み)マイ

デジタル大辞泉 「枚」の意味・読み・例文・類語

まい【枚】

[接尾]助数詞
紙・板・皿などの薄く平たいものを数えるのに用いる。「二、三の紙」
原稿用紙の数を数えるのに用いる。ふつう400字詰めの原稿用紙を単位として数える。「五ほどの随筆」
魚を数えるのに用いる。「ヘラブナを三釣り上げる」
相撲で、その階級の人数を数えるのに用いる。「幕内を二ふやす」
相撲の番付で、席次を数えるのに用いる。「三上がる」
田や畑などの一区画を数えるのに用いる。「田一を植える」
浄瑠璃・長唄で、太夫や唄方の人数を数えるのに用いる。「二ちょう
近世の大判金・丁銀や近代の貨幣・銀貨など、貨幣の数を数えるのに用いる。「銀三拾
駕籠舁かごかきの人数を数えるのに用いる。
「大坂より四―肩は二十四匁の定まり」〈浮・諸艶大鑑・六〉

まい【枚】[漢字項目]

[音]マイ(呉) バイ(漢)
学習漢字]6年
〈マイ〉紙・板・貨幣など薄く平たいもの。「枚挙枚数大枚
〈バイ〉昔、夜討ちなどのとき、声を出さないように口にくわえた木片。「銜枚がんばい
[名のり]かず・ひら・ふむ

ばい【枚】

昔、夜討ちのときなどに声を出さないように、兵士や馬の口にくわえさせた、箸のような形をした道具。ひもで首に結びつけた。口木。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「枚」の意味・読み・例文・類語

まい【枚】

  1. [ 1 ] 〘 接尾語 〙
    1. 紙、板、盾、皿、花びら煎餠など平たいものを数えるのに用いる。ひら。古くは刀、鉾など棒状のものを数えるのにも用いた。
      1. [初出の実例]「白き唐の紙四五まいばかりを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
      2. [その他の文献]〔晉書‐郭璞伝〕
    2. 近世の大判金や丁銀、近代の紙幣や銀貨など貨幣を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「金子百枚」(出典:家忠日記‐天正一四年(1586)一一月四日)
    3. 田や畑などの一区画ずつを数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「田一枚植て立去る柳かな」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)殺生石)
    4. 駕籠をかく人を数えるのに一人の肩を一枚とし「三枚肩」「四枚肩」などの形で用いる。
    5. ( 名を一枚一枚の札、または番付、看板などに書いて張り出したところから ) 芸娼妓役者、相撲取などの人数を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「芸者の五六めへも呼んで、銭を遣ふ」(出典:洒落本・通仁枕言葉(1781))
    6. ( の張り出される順が、その者の成績や位によるところから ) 順位を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「此糸さんが二枚(マイ)も下へ押さげられるか」(出典人情本春色梅児誉美(1832‐33)四)
    7. ( から転じて ) 一般に人の数を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「おめへさん一枚(メヘ)を、大勢の取巻で、通夜(よあかし)大飲といふ洒落が」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)
    8. 魚を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「鯉十本、ふな百まい候」(出典:家忠日記‐天正一七年(1589)正月一八日)
    9. 取引所用語で、売買取引の数量を表わす。株式は一株、米穀は一〇石、生糸は一〇〇斤、綿花は一〇俵をさすなど。〔模範新語通語大辞典(1919)〕
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙ばい(枚)

ばい【枚】

  1. 〘 名詞 〙 昔、夜討ちの時などに、声をたてないように口にふくませた道具。箸(はし)のような形で、横にくわえ、両端に紐をつけて頭上で結ぶ。馬にも用いた。口木。〔易林本節用集(1597)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「枚」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] マイ・バイ
[字訓] いたきれ・かぞえる

[説文解字]

[字形] 会意
木+攴(ぼく)。攴は斧をもつ形。〔説文〕六上に「幹なり。杖と爲すべし」とあり、〔詩、周南、汝墳〕「其の條枚を伐る」の〔伝〕に「枝には條と曰ひ、幹には枚と曰ふ」とあるのによる。卜辞に「舟を枚(つく)る」という用法があるから、手斧(ちような)で刳(えぐ)るような伐りかたであろう。その刳られたものを杖とし、鞭とする。〔左伝、襄二十一年〕に「其の枚數を(しる)す」とあり、馬鞭の数をいう。木片や、木片のように薄いものを数えるに用いる。

[訓義]
1. つえ、むち。
2. いたきれ、うすいもの、うすくながいもの、かずとり、かぞえる。
3. 行軍中、口に含むもの。
4. 鐘の篆間に加える乳文の部分。

[古辞書の訓]
立〕枚 キノエダ・ツツム・マノフチ・ツツキノエダ・ウマ 〔字鏡集〕枚 カラ・ムチウツ

[熟語]
枚別・枚卜・枚挙・枚謝・枚筮・枚枚・枚列
[下接語]
銜枚・亀枚・行枚・条枚・大枚

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

図書館情報学用語辞典 第5版 「枚」の解説

紙のようなシート状の書写材を数える時の物理的な最小単位.葉ともいう.「丁」を同義で使うこともある.当初,書写材を数える単位は枚(丁)しかなかったが,西洋では15世紀末から,日本では明治時代から,ページ付け表示を見かけるようになった.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android