子安神(読み)コヤスガミ

デジタル大辞泉 「子安神」の意味・読み・例文・類語

こやす‐がみ【子安神】

子授け・安産育児などの祈願対象となる神。鬼子母神きしもじん観音地蔵木花開耶姫このはなのさくやびめなど。

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精選版 日本国語大辞典 「子安神」の意味・読み・例文・類語

こやす‐がみ【子安神】

〘名〙 安産祈願の対象とする神。子安地蔵子安観音、産泰(さんたい)様、塩竈神社淡島様など、信仰する神号は種々である。

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改訂新版 世界大百科事典 「子安神」の意味・わかりやすい解説

子安神 (こやすがみ)

子易神とも書く。安産・子育てを祈願する神。子安神の名は《三代実録》に〈美濃国児安神〉とあり,その信仰は古い。子安神には木花之開耶姫(このはなのさくやびめ)を祭神とする子安神社と,観音・地蔵などと結びついた子安観音・子安地蔵とが全国的に分布している。子安観音は中国の慈母観音の影響を受けたといわれ,幼児を抱いた慈母の像で,西日本に多く,堂または神社の形をとって祀られている。これに対して子安地蔵は路傍石像が多く,東日本に多く見られる。また関東地方には子産み盛りの婦人たちにより組織され,子安さまを信仰している子安講が現在でもある。19日に行われるので十九夜講ともいう。〈子安霊神〉の軸をかけて変り飯などを供えて談笑する。その他子安神は子安荒神,子安弘法,子安稲荷など他の信仰と結びついて信仰されているものもある。子安信仰に関連する子安石子安清水,子安木などの伝説が諸地方にあって,妊婦に信仰されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「子安神」の意味・わかりやすい解説

子安神
こやすがみ

子授け・安産・子育てなどの神として広く信仰されている神。子安神の名称は古く『三代実録』貞観(じょうがん)18年(876)の条に「美濃(みの)国児安神」とあり、現在も各地に子安神社がある。児安、子易とも書き、いずれも木花開耶姫(このはなさくやひめ)(山の神)を祭神とし、安産・育児の神とされている。

 子安信仰の形態は多様で、西日本では観音(かんのん)信仰と結合して子安観音となり、堂または神社の形となっている。したがって祭日も一定して信仰されている。東日本、とくに関東地方東部では、子安地蔵、あるいはただ子安様と称して、地域の既婚婦人による講集団によって祀(まつ)られる形が多い。これは組単位に集合し、子安神を祀って安産祈願をするものである。正月・5月・9月の19日、あるいは毎月19日に集まるので、十九夜講(じゅうくやこう)ともよんでいる。犬が死んだことを伝聞すると臨時に子安講を行うこともある。犬の霊魂が安産をもたらしてくれるものと信じ、さらに安産すなわち子安神の信仰と結合したものである。

[鎌田久子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「子安神」の意味・わかりやすい解説

子安神
こやすがみ

安産子育ての神。『日本三代実録』貞観 18 (876) 年7月 11日の条にすでにその名が出ていることからもわかるように,古くからある信仰で,広く各地で行われた。現在では子安観音,子安地蔵,子安八幡など他の信仰と結びついたものが多い。東日本には子安講といって,婦人が集って子安様を信仰しているところがあり,月の 19日に集るので十九夜講とか十九夜様とも呼ばれている。

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百科事典マイペディア 「子安神」の意味・わかりやすい解説

子安神【こやすがみ】

安産子育ての神。子易神とも書く。神道では火中で3柱の御子神を産んだ伝説により木花開耶姫(このはなのさくやひめ)をまつり,仏教と習合し,子安地蔵,子安観音,鬼子母神をまつる。また子安石を神体とし,道祖神との関連もみられる。女ざかりの婦人が集まって子安講をつくり,地蔵講や観音講の名で安産の信心をする。

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