弁財船(読み)べんざいせん

改訂新版 世界大百科事典 「弁財船」の意味・わかりやすい解説

弁財船 (べんざいせん)

青森県から新潟県にかけての海村で見られた大型の帆船。野辺地地方では200石以下の和船で,艫が尻切れになったものだといっていたが,新潟県の海辺では18反帆以上の帆船はすべてベンザイといっていた。ベンザイとは,古文書に見える〈弁済使〉からきているといわれ,九州ではこのことばが大船の船頭の意味になったり,海村の区長の意味になったりしている。東北では帆船の船乗りを〈弁財衆〉〈弁財者〉ともいっていた。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「弁財船」の解説

弁財船
べざいせん

弁才船とも。中世末期から瀬戸内海を中心に発達し,近世中期以降,国内海運の主役として活躍した商船。名称の由来は不明。今日では千石船ともよぶ。船体は二形船(ふたなりぶね)などと同じ棚板構造で,水押(みよし)造の船首が特徴。船首に小さな補助帆である弥帆(やほ)を随時あげ,船体中央に大きな四角帆の本帆を張る。近世初期には漕帆兼用船だったが,遅くとも18世紀初期までに帆走専用船に転換され,北国船(ほっこくぶね)など他の有力な廻船を駆逐し,18世紀中頃には主力廻船の座についた。幕末期に洋式船が導入されると,洋式技術をとりいれて合の子(あいのこ)船として使われ続けた。地方的な特徴をもつ弁財船も多く,造船史上では北前(きたまえ)型弁財船といわれる日本海の北前船が有名。

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