精選版 日本国語大辞典 「思遣」の意味・読み・例文・類語
おもい‐や・る おもひ‥【思遣】
〘他ラ五(四)〙
① 空間的に、また、時間的に、遠くのものをはるかに思う。想像する。推察する。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「あひ見むことのかたき道に出で立つ。父母・俊蔭、悲しびおもひやるべし」
おぼし‐や・る【思遣】
〘他ラ四〙 (「おもいやる(思遣)」の尊敬語)
[一] (「やる」は追いやる意) 悩ましい気持をお晴らしになる。心をお慰めになる。
[二] (「やる」は遠くへ送る意) 目の前にない人や物に思いをはせられる。
① 遠くのものをはるかにお思いになる。想像なさる。
② (人の身の上、心情などについて)思いめぐらされる。おしはかって同情なさる。
※多武峰少将物語(10C中)「ましてかかる物思ひ添ひて侍れば、おぼしやれ」
おもい‐やり おもひ‥【思遣】
〘名〙
① 推察。想像。思慮分別。
※枕(10C終)八七「上もきこしめして『いと思ひやり深くあらがひたる』など」
※落窪(10C後)三「おのが心本性立腹に侍りて、思ひやりなく物いふ事もなん侍るを」
おもい‐おこ・す おもひ‥【思遣】
〘他サ下二〙 思いをこちらによこす。こちらの方を気づかい思う。
※源氏(1001‐14頃)賢木「鈴鹿川八十瀬の浪にぬれぬれず伊勢まで誰かおもひをこせむ」
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