多武峰少将物語(読み)トウノミネショウショウモノガタリ

デジタル大辞泉 「多武峰少将物語」の意味・読み・例文・類語

とうのみねしょうしょうものがたり〔たふのみねセウシヤウものがたり〕【多武峰少将物語】

平安中期の物語。1巻。作者未詳。応和(961~964)初年ごろ成立か。藤原師輔ふじわらのもろすけの八男高光が出家して多武峰草庵を結ぶまでの経緯を、和歌を交えて描いたもの。高光日記

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精選版 日本国語大辞典 「多武峰少将物語」の意味・読み・例文・類語

とうのみねしょうしょうものがたりたふのみねセウシャウものがたり【多武峰少将物語】

  1. 物語。一巻。作者未詳。応和~康保年間(九六一‐九六八)頃の成立か。藤原師輔(もろすけ)の八男高光が、応和元年(九六一妻子兄弟をすてて突然比叡山で出家し、さらに多武峰に草庵を営んだいきさつと、周囲の人々の悲嘆を、歌を中心にしるしたもの。「伊勢物語」と「源氏物語」をつなぐ作品として文学史上注目される。高光日記。たむのみねしょうしょうものがたり。

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改訂新版 世界大百科事典 「多武峰少将物語」の意味・わかりやすい解説

多武峰少将物語 (とうのみねしょうしょうものがたり)

物語。10世紀後半に成立。右大臣藤原師輔の八男右少将藤原高光は961年(応和1)比叡山で出家し,後に大和の多武峰にこもったが,その出家前後から翌年5月ころまでのことを高光の妻と妹(愛宮(あいみや))の悲嘆を中心につづったもの。歌物語的家集ともいうべき形態の作品で,日記文学としても注目される。作者は高光,妻,妹らのいずれかの乳母,あるいは近侍した女房でもあろうか。なお,その書名の伝えられる《高光日記》と同じものかどうか説が分かれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「多武峰少将物語」の意味・わかりやすい解説

多武峰少将物語
とうのみねしょうしょうものがたり

平安時代の日記文学。『高光日記』ともいう。作者,成立年未詳。1冊。藤原師輔の8男で歌人の高光 (940頃~994) が応和1 (961) 年に妻子を捨てて出家した前後のことを贈答歌を中心に記したもので,作者は近侍した女房かといわれる。高光はのちに多武峰に入って増賀聖の弟子となった。『蜻蛉日記 (かげろうにっき) 』に先行する女流日記として注目される。

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世界大百科事典(旧版)内の多武峰少将物語の言及

【藤原高光】より

…《高光集》がある。《多武峰少将物語》は出家前後における近親者の悲嘆を中心にまとめた歌物語である。【秋山 虔】。…

※「多武峰少将物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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