血液に含まれているタンパク質の一つのグループに対して与えられている名称。1937年にティセリウスは、血清のタンパク質が電気泳動によってアルブミンとα(アルファ)、β(ベータ)、γの3種類のグロブリンに分離することをみいだした。γ‐グロブリンは正常な人では血漿(けっしょう)タンパク質の11~17%を占めている。タンパク質としては均一でなく、無数の似たタンパク質の混合物である。そのうち約80%は分子量約16万の分子種(IgG)、約20%は分子量約90万の分子種(IgM)であり、その中間の分子量をもつものも少量存在する。いずれも抗体としての働きをもち、構造と機能に関する研究が活発に行われている。
[笠井献一]
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血清中に存在するグロブリンの一種で,電気泳動による移動距離がα-,β-グロブリンと異なるタンパク質である.γ-グロブリンはおもに分子量1.5×105 のイムノグロブリンであるが,そのほか10% の糖を含み分子量1×106 のα2-マクログロブリン,および3% の糖を含む分子量1.5×105 の γ2-グロブリンを含む.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…発疹の2日ほど前に現れるので,診断上重要な所見とされている。
[治療]
合併症が起こらなければ対症療法のみであるが,重症の場合や,免疫抑制剤,副腎皮質ホルモンを使用している患者がはしかにかかった場合は,血漿製剤であるγ‐グロブリンを静脈内に点滴する。
[合併症]
(1)肺炎 ほとんどが,はしかウイルスによるのではなく,細菌の二次感染によるものである。…
…抗体タンパク質の総称。血清のタンパク質は電気泳動によりアルブミンとα‐,β‐,γ‐グロブリンに分画されるが,抗体はほとんどがγ‐グロブリン画分に見いだされ,また,γ‐グロブリン画分のタンパク質の大部分は抗体であることから,抗体タンパク質は古くからγ‐グロブリンと呼ばれていた。1960年代に,抗体には部分的に構造の異なるクラスやサブクラスとよばれるいくつもの種類があるが,すべての抗体タンパク質は類似した基本構造をもつことが明らかとなり,これを免疫グロブリンと総称することになった。…
…そのほか,より選択的であるリンパ球のサブセットに対するモノクローナル抗体の投与も,免疫抑制療法の一つとして考えられているが,まだ一般的ではない。(2)免疫補充療法としては,無γ‐グロブリン血症に対する免疫グロブリン療法が第一にあげられよう。そのほか,免疫グロブリン療法は,免疫能の低下した患者の一般感染予防にも使用される。…
※「γグロブリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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