翻訳|Ivanhoe
イギリスの小説家ウォルター・スコットの歴史小説。1819年刊。ノルマンに征服されたサクソン王家の回復を図るセドリックの陰謀、リチャード1世(獅子(しし)心王)の聖地遠征、その留守に王位をねらう王弟ジョン(後のマグナ・カルタのジョン王)の奸策(かんさく)など、歴史上の虚実を織り交ぜ、勇士アイバンホー(セドリックの子)、彼を慕うサクソン王女ロウィーナと可憐(かれん)なユダヤ娘レベッカ、さらにロビンフッド一味らを縦横に活躍させた波瀾(はらん)万丈の物語。アシュビーの豪壮な馬上大試合で、ひそかに帰国したアイバンホーがジョン方の諸騎士を打ち破る場面はとくに有名。夏目漱石(そうせき)の『文学論』中「間隔論」の項に言及がある。
[朱牟田夏雄]
『菊池武一訳『アイヴァンホー』全二冊(岩波文庫)』
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…初期のものは最高傑作《ミドロージアンの心臓》(1818)のほか《ガイ・マナリング》(1815),《好古家》(1816),《ラマームーアの花嫁》(1819)など,すべてスコットランドの近い過去を題材とし,貴族から浮浪者までの社会各層の人物を活写する民族的記憶の文学といえる。スコットは続いて《アイバンホー》(1820)で中世のイングランドを舞台とし,その後15世紀フランス,エリザベス女王の宮廷などを描いたが,これらは歴史を写実的にとらえるよりも,むしろロマンティックな冒険物語の色彩が強い。作家生活のほかにも多くの官職につき,〈サー〉の称号を授けられ,アボッツフォードに中世趣味の館を建てたりした。…
…16世紀には彼を主人公とする多くの戯曲が,例えばマンデーAnthony Munday(1553?‐1633)などによって書かれた。19世紀のウォルター・スコットの代表作《アイバンホー》(1820)でも,リチャード1世を助ける正義の士としてロビン・フッドが登場する。現在でも映画やアニメ,絵本や漫画で活躍している。…
※「アイバンホー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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