アイバンホー(読み)あいばんほー(英語表記)Ivanhoe

翻訳|Ivanhoe

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイバンホー」の意味・わかりやすい解説

アイバンホー
あいばんほー
Ivanhoe

イギリスの小説家ウォルター・スコットの歴史小説。1819年刊。ノルマンに征服されたサクソン王家の回復を図るセドリック陰謀、リチャード1世(獅子(しし)心王)の聖地遠征、その留守に王位をねらう王弟ジョン(後のマグナ・カルタのジョン王)の奸策(かんさく)など、歴史上の虚実を織り交ぜ、勇士アイバンホー(セドリックの子)、彼を慕うサクソン王女ロウィーナと可憐(かれん)なユダヤ娘レベッカ、さらにロビンフッド一味らを縦横に活躍させた波瀾(はらん)万丈の物語。アシュビー豪壮な馬上大試合で、ひそかに帰国したアイバンホーがジョン方の諸騎士を打ち破る場面はとくに有名。夏目漱石(そうせき)の『文学論』中「間隔論」の項に言及がある。

朱牟田夏雄

『菊池武一訳『アイヴァンホー』全二冊(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイバンホー」の意味・わかりやすい解説

アイバンホー
Ivanhoe

イギリスの小説家 W.スコットの歴史小説。 1819年刊。中世イギリスにおけるサクソン人ノルマン人対立を背景にした恋と武勇の物語。十字軍遠征中の獅子心王リチャード1世の王位を奪おうと,弟ジョンがノルマン人貴族と共謀。これを知ったサクソン人の騎士アイバンホーはリチャード王を擁護してノルマン人貴族と戦い,サクソンの義賊ロビン・フッドの活躍もあって,勝利を収める。彼は高貴の生れのローイナ姫とユダヤ人の娘レベッカの2人から思慕されるが,レベッカの命を救い,ローイナ姫と結婚する。アイバンホーの馬上槍試合や,ノルマン側の城に捕えられたアイバンホー救出の場面は特に有名である。スコットの数多い歴史小説中で最も人気のある作品。

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