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あごの損傷 あごのそんしょう Injury of Jaw

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家庭医学館の解説

あごのそんしょう【あごの損傷 Injury of Jaw】

 あごの損傷には、原因により機械的損傷、熱傷、化学的損傷、電気的損傷、放射線損傷があります。機械的損傷では、あごに強い力が加えられると、歯の破折(はせつ)や脱臼(だっきゅう)がおこったり、あごの骨が折れたりします。その他の原因による損傷でも、皮膚や粘膜(ねんまく)に強い瘢痕(はんこん)(きずあと)を残すと、受傷部位によっては口が大きく開かなくなります。
 あごの損傷でもっとも多いのが骨折です。骨折部位により歯槽骨骨折(しそうこつこっせつ)、上顎骨骨折(じょうがくこつこっせつ)、下顎骨骨折(かがくこつこっせつ)、頬骨骨折(きょうこつこっせつ)、顎関節骨折(がくかんせつこっせつ)およびそれらが合併した顔面多発骨折に分けられます。
 機械的損傷の原因でもっとも多いのが交通事故で、殴打(おうだ)、スポーツ事故、転倒などがそれに続きます。電気的損傷は、労働災害以外では、子どもや老人に多い電気コードを口にくわえる事故です。
■あごの骨折
●骨折の分類
 あごの骨折は、原因から外傷性骨折と病的骨折(骨髄炎(こつずいえん)や腫瘍(しゅよう)による)に、外力の伝わり方から直達骨折(ちょくたつこっせつ)と介達骨折(かいたつこっせつ)に分けられます。
 直達骨折は、力が直接加わった部分が折れることで、介達骨折は、力が加わったところから離れた部位の骨折です。下顎正中部(かがくせいちゅうぶ)に外力が加わったときの下顎頸部(かがくけいぶ)の骨折は介達骨折です。
 骨折の状態により、完全に離断された完全骨折と小児の骨折などのような不完全骨折に、また、骨折部の皮膚や粘膜(ねんまく)に損傷がなく骨が露出していない単純(非開放性)骨折と、骨折部の皮膚や粘膜が損傷し、軟組織の損傷部から骨折部が見えている複雑(開放性)骨折に分けられます。さらに、骨折線の数により単線骨折、複線骨折、多線骨折、粉砕骨折に分けられます。
●症状
 骨折するような強い力がからだに加えられると、全身的にはショック意識障害呼吸困難などの症状が現われます。また、多量の出血のため二次性のショック状態になり、生命が危険になります。意識障害がある場合には、口腔内(こうくうない)の出血は気道閉塞(きどうへいそく)による呼吸困難をおこします。
 骨折部位の症状は、自発痛や圧痛、腫(は)れです。骨片(こっぺん)の移動で顔面は変形し、開口や閉口ができなくなり、むりに動かすと激しい痛みが生じます。皮膚・粘膜の損傷部位からは出血し、骨折片が露出したり、三叉神経(さんさしんけい)や顔面神経を損傷して顔面部の知覚まひ・運動まひがみられます。
●骨折の治療
 受傷直後は止血、ショックや呼吸障害などに対する救急処置を最優先します。また顎顔面部(がくがんめんぶ)以外の外傷の有無を確認します。とくに頭蓋内損傷(ずがいないそんしょう)や内臓損傷などをチェックし、頭部に外傷がある場合は、後から問題が出ることがあるので、専門医への受診が必要です。止血処置の後、皮膚や粘膜を洗浄して汚れを除去し、感染予防を行ないます。破傷風(はしょうふう)の予防注射が必要な場合もあります。
 つぎに、歯の破折や脱臼の処置を行ない、歯列の型をとり、上下顎歯列(じょうかがくしれつ)の石膏(せっこう)模型をつくります。模型上で整復位置を再現し、手術計画をたてます。その後、上下顎の歯に線副子(せんふくし)(シーネ)をつけて手術準備とします。
 整復には、非観血的整復(ひかんけつてきせいふく)と観血的整復(手術)がありますが、いずれにしろ手やゴム牽引(けんいん)で骨片を元の位置に正確にもどします。手術的には、整復された位置で骨片を小さな金属プレートで密着させてスクリューをねじ込み、骨に固定します。さらに線副子を利用したり、連続歯牙結紮(けっさつ)で上下顎を結び、顎間固定をします。非観血的に顎間固定だけですませる場合、約1か月固定します。固定期間は高齢者では1か月より長め、若い人では短めです。

出典|小学館
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