ロシア連邦,ヨーロッパ・ロシアの南東部,同名州の州都。人口50万1000(2005)。カスピ海から約95kmはなれたボルガ川下流の三角州(黒海の水位より約20m低い)に位置する。漁業,水産加工工業の一大中心地で,木材加工業,造船業もさかん。水産大学など大学・専門学校が4校,劇場,博物館がある。古くからカスピ海および陸上交通の要衝で,物資の集散地として栄えた。現市の北方約10kmに旧市があったが,ティムールに破壊されたのち,現在の場所に建設され,15世紀後半から1556年のイワン4世による占領までアストラハン・ハーン国の首都であった。1670年ステンカ・ラージンに占領されたが,のちにピョートル大帝はペルシアとの戦争の基地として造船所などを建設して,市の繁栄の基礎をきずいた。市の最高所には16世紀末に造られたクレムリン(城壁)がのこり,18世紀初頭に建築されたウスペンスキー聖堂がある。その位置の関係で,現在でも中央アジア系,トルコ系,アラブ系などの住民が多い。
執筆者:倉持 俊一
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ロシア連邦南西部、アストラハン州の州都。人口48万9500(2003推計)。ボルガ川のデルタ扇頂部に位置する河港都市で、カスピ海から100キロメートル離れている。石油、木材の積み換え地で、漁業の拠点でもある。また、工業都市でもあり、水産加工、木材加工、段ボール製造、船舶修理業などが主要部門である。市の起源は13世紀の集落アシタルハンに始まるが、1460年代よりアストラハン・ハン国の首都であり、1556年ロシアに併合された。要塞(ようさい)であるとともに、アジアとヨーロッパを結ぶ交易の中心として栄え、いまも多数の民族が居住し、アジア系の住民も多い。市内に16世紀建造のクレムリン(城塞(じょうさい))、18世紀建造のウスペンスキー寺院が保存され、観光客も多数訪れる。水産、医科、教育の各大学がある。高級毛皮「アストラカン」の名は、中央アジアのカラクール種の子ヒツジの毛皮を、当市から輸出したことに由来している。
[中村泰三]
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…フォアグラなどとならぶ珍味とされ,瓶詰,缶詰にしたものが多い。カスピ海産のものが最も有名で,その大部分はボルガ川河口のアストラハンで採取,製造される。普通うすい黒灰色で粒の大きいものが良品とされるが,緑色や金色のものもあり,金色のものは希少で珍重される。…
※「アストラハン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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