集積、寄せ集めの意。英語ではアセンブリッジ。廃品や日用品をはじめさまざまな物体を寄せ集めて彫刻ないし三次元的立体作品の形態をつくりだす方法。紙片や布切れなどを画面に貼(は)り付けるキュビスムのコラージュに端を発するが、コラージュがあくまでも平面的であったのに対して、アッサンブラージュは三次元的である。1961年にニューヨークで開かれたアッサンブラージュ展の企画者ウィリアム・サイツによれば、それはなによりもまず芸術品としてつくられたのではない物体の寄せ集めでなければならないとされる。ピカソの『アプサント瓶』(1912)などが先駆といえるが本格的な開花にはダダやシュルレアリスム、とくに第二次世界大戦後のネオ・ダダ、ポップ・アート、ヌーボー・レアリスム、環境芸術(エンバイランメンツenvironments)をまたねばならない。おもに廃品を用いるダニエル・スペーリDaniel Spoerri(1930― )、アルマンFernandez Arman(1928―2005)、ジャン・ティンゲリーらは、廃品を素材に芸術化するということから、さらに進んで、むしろ「がらくた(ジャンク)」の廃物そのもののもつ表現力を引き出そうとするものである。
[千葉成夫]
〈集合,集積,寄集め〉を意味するフランス語で,さまざまな物体を寄せ集めて美術作品を制作する技法およびその作品を指す。コラージュとアッサンブラージュの違いは,ひとつは歴史的に前者が第2次大戦以前のものである点,もうひとつは語の原義から前者は糊付けた(貼り付けた)もの,後者は寄せ集めて集積したものとの意味からかけ離れた使い方はできないという点にある。したがって,前者は基本的には二次元平面上に現実の物体を貼り付けることを指し,後者は二次元,三次元を問わず,物体を寄せ集めることを指す。ダダやシュルレアリスムのオブジェ作品やシュウィッタースの《メルツ》作品をアッサンブラージュの初期の例として挙げることができる。第2次大戦後,デュビュッフェの蝶の翅の作品があり,1950年代になるとネオ・ダダ,ヌーボー・レアリスム,ポップ・アートなど幾多の動向のなかに現れてくる。工業製品の廃品を主に用いるジャンク・アートjunk art(廃物芸術)もアッサンブラージュである。アルマンArman(1928-2005),ロテラMimmo Rotella(1918-2006),スペーリDaniel Spoerri(1930- ),ラウシェンバーグ,スタンキェビッチRichard Peter Stankiewicz(1922-83),ネベルソン,さらにキーンホルツEdward Kienholz(1927-94)らが,アッサンブラージュを作品の中核とする代表的美術家である。
執筆者:千葉 成夫
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