ヨーロッパ,アジア,北アフリカに約100種をかぞえるアブラナ科の小型の多年草で,多くは山草としてロックガーデンや小鉢に栽培される。このうち最も知られているのはアリッサム・サクサティレA.saxatile L.(英名gold-dust,golden tuft)である。南ヨーロッパ,クレタ島の原産で,高さ15~30cm,茎は多数に分かれて,灰白色の軟毛におおわれた披針形の葉をつける。4月には黄金色の小花を無数につけて地をおおうように咲くのが美しい。この属はほかにも多くの種がヨーロッパで栽植されているが,日本の夏の高温多湿に弱く,栽培はそれほど多くない。
またスイート・アリッサム(ニワナズナ。英名sweet alyssum)と呼ばれている植物は,アリッサムによく似て芳香がある花をつけるのでこの名で呼ばれるが,地中海沿岸地方に5種をかぞえるロブラリア属のロブラリア・マリティマLobularia maritima Desv.である。草丈は15~20cm。原産地では多年草であるが,日本ではふつう秋まき一年草として栽培される。葉は細長く全縁で,花は小さく粗い総状につく。花色は白が基本であるが,園芸品にはそのほか紫,淡紫,ピンク,紅などがある。ふつうは9月末にまき,冬は霜よけ下に保護すれば2月ごろから6月まで咲きつづける。排水と日当りのよい場所でよく育つが,夏の暑さでは根腐れする。夏を涼しく過ごさせれば秋に再び芳香強く降霜期まで咲く。春まきもできる。
執筆者:浅山 英一
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アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草であるが、強い暑さと寒さに弱いので、普通は一年草として扱われる。和名をニワナズナ、ニオイナズナという。以前はAlyssum属とされていたので、アリッサムとよばれる。地中海から西アジアにかけての海岸地帯原産。草丈は10~15センチメートルの極矮(ごくわい)性で、分枝性に富み自然に半球状になる。枝の上部に花穂をつけ、白、紫、桃色の4弁の小花を密につける。いずれも甘い芳香がある。アリッサムとよばれるものには、このほかにAlyssum montanum L.という高山性の黄色花をつける種類もある。一般に栽培される品種にカーペット・オブ・スノー(白色)、ロイヤル・カーペット(紫色)、ロージー・オディ(桃色)などがある。多くは模様花壇や花壇の縁取り材料に用いるが、鉢植えやロック・ガーデンにもよい。暖地では9月中旬~10月上旬、寒地では3~4月に鉢か箱に種を播(ま)く。発芽後まもなく株間5センチメートルに移植し、30~40日後に4号鉢に鉢取りし、冬期間は暖かい所で育苗し、翌春に定植する。
[横山二郎 2020年11月13日]
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