アリッサム(読み)ありっさむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリッサム」の意味・わかりやすい解説

アリッサム
ありっさむ
[学] Lobularia maritima Desv.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草であるが、強い暑さと寒さに弱いので、普通は一年草として扱われる。和名ニワナズナ、ニオイナズナという。以前はAlyssum属とされていたので、アリッサムとよばれる。地中海から西アジアにかけての海岸地帯原産。草丈は10~15センチメートルの極矮(ごくわい)性で、分枝性に富み自然に半球状になる。枝の上部に花穂をつけ、白、紫、桃色の4弁の小花を密につける。いずれも甘い芳香がある。アリッサムとよばれるものには、このほかにAlyssum montanum L.という高山性の黄色花をつける種類もある。一般に栽培される品種にカーペット・オブ・スノー(白色)、ロイヤル・カーペット(紫色)、ロージー・オディ(桃色)などがある。多くは模様花壇や花壇の縁取り材料に用いるが、鉢植えやロック・ガーデンにもよい。暖地では9月中旬~10月上旬、寒地では3~4月に鉢か箱に種を播(ま)く。発芽後まもなく株間5センチメートルに移植し、30~40日後に4号鉢に鉢取りし、冬期間は暖かい所で育苗し、翌春に定植する。

[横山二郎 2020年11月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アリッサム」の意味・わかりやすい解説

アリッサム
Alyssum; gold-dust; madwort

アブラナ科アリッサム属の総称。約 80種がヨーロッパとアジアに分布する一,二年草,または亜低木線形またはへら形の葉が互生し,茎が匍匐するものもある。十字状に4枚の花弁をもつ小花が総状花序または散房花序を形成する。黄花種が多いが,まれに白色や桃色の種類もあり,多くは香りがよい。一般には,かつてアリッサム属に分類されていたニワナズナ (スイート・アリッサム) をアリッサムと呼ぶことが多いが,現在ニワナズナは別属のロブラリア属に分けられている。日当りのよい乾燥ぎみの砂礫地を好み,ロックガーデンに利用されることもある。酸性土壌を嫌うので,播種時には事前に石灰などで中和する。

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