アルピニア(読み)あるぴにあ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルピニア」の意味・わかりやすい解説

アルピニア
Alpinia; ginger lily

ショウガ科アルピニア (ハナミョウガ) 属の総称。アジアの熱帯を中心に 250種以上が分布する多年草。日本にはクマタケランアオノクマタケランハナミョウガなどが自生する。一般にショウガを大型にしたような草姿をもつ。長楕円状披針形のつやのある葉とともに,花の美しい種類が,観賞植物として利用される。日本ではキフゲットウ A.zerumbet `Variegata'が観葉植物として最もよく栽培され,ゲットウも生け花用の「切り葉」として利用される。また,鮮かに色づく包が美しいレッドジンジャー A.purpurataは近年ハワイなどから切り花として輸入されている。なお,薬効のある種類も多く,一部の種の根茎や種子が,漢方薬として用いられている。沖縄などの暖地では露地栽培もされるが,一般には鉢植えまたは温室内で育てる。水はけのよい用土に植え,冬は8~10℃以上に保つ。葉焼けを起しやすいため,直射日光に当てないように管理する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルピニア」の意味・わかりやすい解説

アルピニア
あるぴにあ
[学] Alpinia

ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の観葉植物。熱帯地方原産。葉姿はショウガを大きくした形に似る。葉の色彩模様の美しいものを観賞用に2~3種栽培するほか、八丈島ではいけ花用の切り葉栽培も行われる。ゲットウ(月桃)はアルピニア属の代表種で、高さ3メートルに及び、茎の先端に肉厚の白色花が垂れ下がってつく。葉は濃緑色、披針(ひしん)形で光沢があり、ハランなどと同様に食べ物を包むのに用い
る。園芸品種のキフゲットウは葉に黄色の斜線模様が何本も入る。フイリゲットウはニューギニア原産で高さ1.5メートルくらい、細長い葉に乳白色の線状模様が入り美しいが、耐寒性が劣り15℃以上を必要とし、日焼けにも弱い。ほかのものは冬は5~8℃で越冬する。繁殖株分けにより、5~6月ごろ茎を2本以上つけて分け、排水のよい土で鉢に植える。

[坂梨一郎 2019年6月18日]


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