改訂新版 世界大百科事典 「ハナミョウガ」の意味・わかりやすい解説
ハナミョウガ (花茗荷)
Alpinia japonica (Thunb.) Miq.
温暖地の山地林床に生えるショウガ科の多年草。根茎は分枝して地下をはい,それから高さ30~50cmの葉鞘(ようしよう)がまき重なった偽茎を出す。暗緑色で,葉身は裏面にビロード状に短毛をはやし,長楕円形で,長さ20~35cm,偽茎に2列に互生してつき,冬も枯れない。初夏に直立した花序を偽茎頂から出し,穂状に花をつける。白色で大きくて目だつ唇弁は卵形で長さ1cmほど,紅色の条斑がある。果実は広楕円形で秋末に紅熟し,有毛である。本州中部以南の照葉樹林の林床に生え,台湾や中国大陸にも分布する。果実や種子を日本では伊豆縮砂(いずしゆくしや)と称し,漢方の縮砂の代用とした。また中国では果実や種子を土砂仁,全草は山姜(さんきよう)といい薬用にする。よく似ているクマタケランA.kumatake MakinoやアオノクマタケランA.chinensis Rosc.も西南日本の暖地林床に分布し,ときには観賞用に栽植されることがある。ハナミョウガ属Alpiniaのうちゲットウのように大型のきれいな花をつける種は,熱帯域や温室で観賞用に広く栽植されている。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報