アレティーノ(読み)あれてぃーの(英語表記)Pietro Aretino

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アレティーノ」の意味・わかりやすい解説

アレティーノ
Aretino, Pietro

[生]1492.4.19. アレッツォ
[没]1556.10.21. ベネチア
イタリア詩人劇作家。青年時代ペルジャで文学修業につき,1517年ローマに出た。同地でアゴスティーノ・キージやジュリオ・デ・メディチ枢機卿の庇護を受け,政治詩や風刺詩を発表,多くの王侯貴族にその辣腕を恐れられた。アリオストが彼を「王侯の鞭」と名づけたことは有名。主著詩集『新作品』 Opera nova (1512) ,『書簡集』 Lettere (21~22) ,風刺的対話集『談論』 Ragionamenti (36) ,喜劇娼婦』 La cortigiana (25) ,『タランタ』 La Talanta (42) ,『偽善者』L'ipocrito (42) ,『哲学者』 Il filosofo (44) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレティーノ」の意味・わかりやすい解説

アレティーノ
あれてぃーの
Pietro Aretino
(1492―1556)

イタリアの詩人、劇作家。ルネサンス人のもつ自由で闊達(かったつ)な気風をもっとも鮮やかに体現した文学者の一人。フィレンツェ近くのアレッツォに靴職人の子として生まれる。ローマの銀行家や法王など権力者の庇護(ひご)を受けながらも、王侯貴族の生活をあばく痛烈な風刺作品を次々と書きまくった。しかし彼の自由奔放な生き方は、一部からは敬遠されながらも、人柄のよさと相まって、広い共感を失うことがなかった。代表作に喜劇『遊女』(1526)、『タランタ』(1542)、『哲学者』(1544)、詩集『アンジェリカの涙』(1538)、『書簡集』(1521~1522)がある。

小林 惺]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例