アンデルシュ(読み)あんでるしゅ(英語表記)Alfred Andersch

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンデルシュ」の意味・わかりやすい解説

アンデルシュ
Andersch, Alfred

[生]1914.2.4. ミュンヘン
[没]1980.2.21. スイス,ベルツォーラ
西ドイツの作家。ギムナジウムから商業学校を経て 18歳で共産党入党,青年部の幹部として活動したため,1933年にダッハウ強制収容所に6ヵ月間拘禁され,のちに召集されたがイタリア戦線で脱走,アメリカ軍の捕虜になった。戦後 H.W.リヒターらと雑誌『叫び』 Der Rufを発刊,さらに「47年グループ」を結成した。現代社会に鋭く切込むアクチュアルな作家で,社会的束縛ないし全体主義国家と個人の自由の問題を主要なテーマとする。主著ザンジバル』 Sansibar oder der letzte Grund (1957) ,『赤毛の女』 Die Rote (60) ,『エフライム』 Efraim (67) 。ほかに自伝『自由のさくらんぼ』 Die Kirschen der Freiheit (52) など。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンデルシュ」の意味・わかりやすい解説

アンデルシュ
あんでるしゅ
Alfred Andersch
(1914―1980)

ドイツの作家。2月4日ミュンヘンに生まれる。18歳で共産党に入党したが反ファシズム運動で逮捕され転向、工員生活のあと、1944年にイタリア戦線で脱走、敗戦までアメリカで捕虜生活を送った。戦後は占領下のドイツで、社会主義統一ヨーロッパを主張する雑誌『叫び』を編集したが、占領軍によって発禁処分を受け、文学集団「グループ47」を結成した。党員時代と脱走との報告『自由のさくらんぼ』(1952)、ナチス・ドイツから脱走する5名の人物の抵抗と逃亡のエピソードを同時並列的につづった小説『ザンジバル』(1957)で前衛的作家として認められた。戦争末期の前線での軍事的拒否行動をテーマとした『冬の麦』(1974)、ナチス台頭期にユダヤ人殺害計画の立案者ヒムラーの父親から放校処分を受ける少年の宿命を描いた自伝的小説『殺人者の父親』(1980)など、アクチュアルな問題を扱った小説が多い。1980年2月21日死去。

[早崎守俊]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android