ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説
アンミアヌス・マルケリヌス
Ammianus Marcellinus
[没]400頃
ローマの歴史家。当時のほとんどの戦争に参加して,引退後ローマで,タキツスの『同時代史』の終った 96年のネルウァ帝即位から 378年のウァレンス帝戦死にいたる 31巻の歴史書を執筆。第 14巻以降 (353~378) が現存する。歴史の役割をよくわきまえ,正確と真実をねらいとし,キリスト教徒,異民族,ローマ皇帝などに対する判断にも偏見を交えていない。ローマの歴史記述の伝統を維持し続けた最後の史家と評されている。彼自身の戦争体験が描写に迫真性を与え,エジプトのオベリスクや象形文字,地震,メソポタミアのライオン,当時の砲兵隊などの余談もおもしろい。生まれながらのローマ人ではないので,文体は重々しい。
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