イザーク(読み)いざーく(英語表記)Heinrich Isaac

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イザーク」の意味・わかりやすい解説

イザーク
Isaak, Heinrich

[生]1450頃.ブラバント
[没]1517. フィレンツェ
フランドル楽派の作曲家。初期の経歴は明らかでない。 1480年頃フィレンツェのロレンツォ・デ・メディチに招かれてオルガン奏者となる。 97年アウクスブルクへ移り,マクシミリアン皇帝に仕えて宮廷音楽家となった。皇帝に従って各地を旅行し,インスブルックコンスタンツなどに滞在。 1514年以後,フィレンツェを定住の地として晩年をおくる。作品にはフランス語を歌詞とするシャンソン,ドイツ語によるリートなど広範囲の世俗曲や,多くのミサ,モテトがある。ミサ固有式文に作曲した全3巻から成る作品集"Choralis Constantinus"は彼の記念碑的作品で,弟子 L.ゼンフルによって完成された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イザーク」の意味・わかりやすい解説

イザーク
いざーく
Heinrich Isaac
(1450ころ―1517)

フランドル楽派の作曲家。1485年から94年まで、メディチ家の保護のもとにフィレンツェの大聖堂および付属洗礼堂でオルガン奏者を務め、97年以後は皇帝マクシミリアン1世に仕え、ウィーン、インスブルックなどで活躍した。1515年にふたたびフィレンツェに行き、同地で没した。盛期フランドル楽派中とくに重要な作曲家で、フランドルの精緻(せいち)な対位法書法を基礎に、イタリア的旋律法、ドイツ風の情感豊かな性格を巧みに融合した音楽を書いた。ミサ曲モテット、シャンソン、ドイツ多声歌曲、フロットラなど多数の作品を残したが、なかでもミサ固有文を多声化した曲集『コラリス・コンスタンティヌス』はとくに重要である。

[今谷和徳]

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