イライト(読み)いらいと(英語表記)illite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イライト」の意味・わかりやすい解説

イライト
いらいと
illite

粘土鉱物一種白雲母(うんも)と化学組成上よく似ているが、層間のアルカリイオンが不足している。このため、その不足をヒドロニウムイオンで補っていると考えられている。イライトという名称は微細な白色雲母の総称として使われ、化学組成上いろいろなものを含んでいるので、現在は系列名として取り扱われている。主として頁岩(けつがん)、酸性火山岩火砕岩(火山砕屑(さいせつ)岩)起源の変質岩中、泥質堆積(たいせき)岩中に広く分布する。ほかの粘土鉱物ほど粘着力はなく、少しぬらした試料をこすると指がすべすべしてくる。アメリカのイリノイ地方の頁岩中から分離されたので、この名がついた。

松原 聰]


イライト(データノート)
いらいとでーたのーと

イライト
 英名    illite
 化学式   K0.65Al2□Al0.65Si3.35O10(OH)2
 少量成分  Fe3+,Fe2+,Mg
 結晶系   単斜
 硬度    1~2
 比重    2.6~2.9
 色     白
 光沢    土状
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目参照

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イライト」の意味・わかりやすい解説

イライト
illite

アルミニウムに富む泥質ないし凝灰岩質堆積岩中に産する,微細な雲母族鉱物の一般名。化学組成上,白雲母に近いものもあるが,比較的二酸化ケイ素酸化マグネシウム,水に富み,酸化カリウムに乏しい。ハイドロマスコバイトなどと同系列の鉱物。いくつかのポリタイプが報告されている。化学組成も明瞭でなく,結晶構造上,単独鉱物でなく混合層鉱物であるという見解もあって,鉱物学的にはいまだに問題が多い。熱水鉱床母岩の変質鉱物としても普遍的に産出する。

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