インセストタブー(読み)いんせすとたぶー(英語表記)incest taboo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インセストタブー」の意味・わかりやすい解説

インセストタブー
incest taboo

近親特定の範囲内にある男女間の性交渉の禁止あるいは抑制 (したがって結婚も不可) をいう。インセスト近親相姦近親婚などと邦訳されている。インセストとされる範囲は社会によって異なるが,親子,兄弟姉妹間,あるいは親族名称のうえで親子,兄弟姉妹と同一のものと定められる男女間での性交渉をいう場合が普通である。単系出自原理とする社会では,インセストタブーの対象となる範囲が外婚単位であるリニージないしは氏族にまで及ぶ (たとえば,タレンシ族ヌエル族,トロブリアンド諸島民,アシャンティ族など) 。インセストタブーが犯された場合,単に違反者に危険が及ぶだけではなく,神の怒りを買い,社会全体が混沌状態に陥ると信じる社会も多く,違反者に対して追放処刑などの形で制裁が加えられる例がしばしば見出される。なお,C.レビ=ストロースはインセストタブーを,娘や姉妹をよその男に与えて,よその男からその娘や姉妹を要求する権利を確立するものであると解釈し,「女の交換」によって家族間の相互依存基礎づけられると述べ,さらにもし人間社会組織に始りがあったとするならば,それはインセストタブーによってのみ可能であると強調した。しかしその後,E.リーチや R.ニーダムによってインセストタブーの普遍性は否定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「インセストタブー」の意味・わかりやすい解説

インセスト・タブー
いんせすとたぶー
incest taboo

ある範疇(はんちゅう)の親族との性関係や結婚を禁ずる規則をいう。あらゆる人間社会においてみられる。基本家族成員両親を除く)の間での性交はほとんど普遍的にインセスト(近親相姦)であるとみなされている。

[濱本 満]

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