日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィッティヒ」の意味・わかりやすい解説
ウィッティヒ
うぃってぃひ
Georg Wittig
(1897―1987)
ドイツの化学者。ベルリンに生まれる。チュービンゲン大学に入学するが、第一次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)したため中退、戦後はカッセル大学、マールブルク大学で学び、1926年博士号を取得した。1932年ブラウンシュワイク工科大学で学科主任、1937年フライブルク大学で準教授、1944年チュービンゲン大学で教授を歴任、1956年ハイデルベルク大学教授となり、1967年まで務め、退職後は同大学の名誉教授になった。
ウィッティヒは、有機化学分野の研究を続けていくなかで、1942年に、フェニルリチウムの作用でエーテル類をアルコールに転位させるウィッティヒ転位を発見した。また1954年に、リンの有機化合物であるアルキリデンホスホラン(ウィッティヒ試薬)をカルボルニル化合物に作用させ、アルケンを合成するウィッティヒ反応を発見した。この反応は、ビタミンAなど多くの天然化合物の合成に広く用いられるようになった。1979年に「リンを含む化合物の試薬の有機合成における利用」に対して、ノーベル化学賞が与えられた。アメリカの化学者ブラウンとの同時受賞であった。
[編集部 2018年6月19日]