時間とともに変化する偶然現象の数学的模型である確率過程のうちで,もっとも代表的なものである。初め,イギリスの植物学者R.ブラウンが顕微鏡で水中にある花粉から出る微粒子を観測しているうちに,それらが激しい不規則運動をしていることを発見した。この運動は,後に水の分子が微粒子と無数といってよいほど頻繁に衝突することによって起こるものであることがわかり,ブラウン運動Brownian movementと呼ばれるようになった。A.アインシュタインは,1905年にこの運動の数学的記述を与え,一定時間内の変移はガウス分布に従うことを理論的に示した。次いで,P.レビはブラウン運動を確率過程としてとらえ,その確率的性質を詳しく調べた。その出発点は次のように考えられる。いまt時間の間に推移した量を三次元ベクトルとして(B1(t),B2(t),B3(t))と書こう。これは各微粒子ごとにいろいろと異なった値をとるであろうが,そのベクトルがある範囲内にある割合すなわち確率を指定したり,またtとともにどのようにその偶然が変化するかを指定することができて,現実のブラウン運動の数学的模型が得られる。実際,三つのBi(t)は互いに独立で,各Bi(t)は独立増分をもつガウス過程である。そしてBi(t)-Bi(s)は平均0,分散|t-s|のガウス分布に従っている。その中の一つの成分,例えばB1(t)をとり,tの関数とみるとき,各粒子ごとに一つの連続関数が得られる。よって連続関数の集合が得られ,その部分集合の多さを粒子の多さとして測ることができる。そのような測度はウィーナー測度と呼ばれ,N.ウィーナーの創始したサイバネティックスの理論の中で重要な役割を果たしている。
執筆者:飛田 武幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…その確率法則は,平均値m(t)=E{Xt(ω)}と共分散関数ρ(t,s)=E{(Xt(ω)-m(t))(Xs(ω)-m(s))}とで決まる。m(t)=0,ρ(t,s)=min{t,s}(=tとsの小さいほう)であるガウス過程{Xt(ω)(t≧0)}で見本関数が連続であるものをウィーナー過程,またはブラウン運動という。これはR.ブラウンが観察した花粉の微粒子の不規則運動や,A.アインシュタインが研究した分子運動の模型を,N.ウィーナーが数学的に厳密にしたもので,ウィーナーやP.レビの詳しい研究がある。…
※「ウィーナー過程」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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