ウォルムス大聖堂(読み)うぉるむすだいせいどう(英語表記)Wormser Dom

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォルムス大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ウォルムス大聖堂
うぉるむすだいせいどう
Wormser Dom

ドイツ、ライン川畔のウォルムス市にある大聖堂シュパイエルマインツの大聖堂と並んで12~13世紀に造営された。建築様式にはライン川上流地域における後期ロマネスクとフランス・ゴシック交錯が認められる。そのプランは二重内陣式で東西に八角形の内陣が設けられるという相称的形態をみせる。そして身廊のベイ(柱間)1区画が側廊のそれの2区画に対応し、双方とも交差穹窿(きゅうりゅう)が架せられている。また内部に階段のある双塔が東西のアプスにそれぞれ建てられ、身廊と翼廊との交差部には尖頭(せんとう)形の屋根をもつ、低い八角塔がのせられている。側廊に設けられた入口はドイツとイギリスにおいてのみみられるもので、側面の壁体には平坦(へいたん)で細長い片蓋柱(かたぶたばしら)と交互に半円アーチ形の窓が開けられ、東側アプスには中世ドイツの典型的象徴であるデモン浮彫りがみられる。なお身廊がフランス式のリブ穹窿であるのに対し、側廊はこの地方の伝統的な(リブを用いない)穹窿である点など、内部の建築的な不調和は否定できない。

[濱谷勝也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォルムス大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ウォルムス大聖堂
ウォルムスだいせいどう
Wormser Dom

ドイツ南西部ライン河畔のウォルムスにある大聖堂。ドイツ・ロマネスクの代表的建築。ブルクハルト司教によって 1018年献堂された建物の基礎上に,今日の二重内陣式建築への改築が 12世紀中葉から開始され,東側は 1181年献堂,西聖歌隊席および内陣部は 1230年に完成。東聖歌隊席が典型的なロマネスク様式を示すが,ファサードの一部は第2次世界大戦の際破壊された。主祭壇は,18世紀,B.ノイマンの設計によるもので,聖堂の内外は多くのロマネスク,ゴシックの絵画彫刻で装飾されている。

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