ウォルムス(読み)うぉるむす(英語表記)René Worms

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォルムス」の意味・わかりやすい解説

ウォルムス(ドイツ)
うぉるむす
Worms

ドイツ西部、ラインラント・プファルツ州の都市。ボルムスともいう。人口8万0400(2000)。ライン川がライン地溝帯の幅広い平野を蛇行する左岸にあり、西側にはブドウ栽培の盛んな丘陵地帯が接している。ローマ時代に起源をもつドイツの古都の一つ。346年に大司教座が置かれ、フランク王朝時代にその帝国直轄都市となり、政治的にも重要な地位を占めた。ここでの帝国議会開催は8~16世紀間に100回以上に及び、神聖ローマ皇帝とローマ教皇との「ウォルムス協約」(1122)や新教ルターを喚問した「ウォルムス国会」(1521)の場となった。中世叙事詩ニーベルンゲンの歌』の舞台としても知られる。地域中心都市として官公庁や文化・教育施設が集中するほか、市域の北部やライン川の河港付近には、機械、家具、麦芽製造、ワイン醸造製粉鉄鋼アルミニウムなど各種の工業が立地する。

[朝野洋一]


ウォルムス(René Worms)
うぉるむす
René Worms
(1869―1926)

フランスの哲学者、社会学者。レンヌに生まれる。初期の哲学研究から、法律、文学、経済学などの研究で得た博識をもって社会学の研究に進む。その間カーン大学の法学教授、パリ商業学院の経済学教授を経て、高等研究院(エコール・デ・オート・ゼチュード)の社会学史教授を歴任した。社会学への主要な貢献は編集者、組織者としての役割で、1892年『国際社会学評論』を創刊、翌1893年国際社会学協会を設立し『国際社会学叢書(そうしょ)』を監修した。1895年パリ社会学会を設立。1924年参事院の官職就任

 彼の社会学は、当初『有機体と社会』(1896)において、当時威信を得つつあった進化論的生物学の影響を受け、社会は生物有機体と同じ一般法則に服すが、社会は生物有機体より高い進化段階にある、より複雑な「超有機体」であるとする社会有機体説を掲げた。有機体説への批判の高まりを意識して、後期の著作では、生物学的要因より心理的要因に力点を移し、初期の、社会と生物有機体との強引なアナロジーを緩和した。

[古賀英三郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォルムス」の意味・わかりやすい解説

ウォルムス
Worms

ドイツ西部,ラインラントファルツ州,ライン中流左岸にある歴史的都市。古くはケルト人の居住地でローマ時代にウァンギオヌムと呼ばれた。 413~436年にはブルグント王国の首都であった。 13世紀初頭に作られた叙事詩『ニーベルンゲンの歌』の舞台。7世紀初頭フランク王が聖堂を建立,のち帝国直轄都市となり,1122年のウォルムス政教条約,1521年のウォルムス帝国議会 (ルターの法益剥奪を採決) など重要な会議の開催地となった。現在はブドウ栽培地帯の中心地で,ワインの醸造,皮革,機械工業が行われる。 1018年創設のロマネスク大聖堂,1868年建設のルター記念碑,ユダヤ人墓地などが有名。人口7万 6503 (1991推計) 。

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