ドンジュアン(読み)どんじゅあん(英語表記)Don Juan

翻訳|Don Juan

デジタル大辞泉 「ドンジュアン」の意味・読み・例文・類語

ドン‐ジュアン(Don Juan)

ドン=ファン
原題、〈フランスDom Juan ou le Festin de pierreモリエールによる散文喜劇。5幕。1665年初演ドン=ファン伝説題材とした作品。ドンジュアンまたは石像の宴。
バイロンによる長編叙事詩。未完。1819年から1824年にかけて、16巻(約1万5千行)が発表されたが、作者病死により17巻の初めで中断した。

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精選版 日本国語大辞典 「ドンジュアン」の意味・読み・例文・類語

ドン‐ジュアン

  1. [ 一 ] ( [英語フランス語] Don Juan ) ドン=ファンの英語・フランス語読み。
  2. [ 二 ] ( 原題[フランス語] Don Juan ou le Festin de Pierre ) 喜劇。五幕。モリエール作。一六六五年初演。妻をのがれて旅に出た女たらしのドン=ジュアンと従僕スガナレルの行状を人間探求の立場から風刺的に描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドンジュアン」の意味・わかりやすい解説

ドン・ジュアン(バイロンの叙事詩)
どんじゅあん
Don Juan

イギリス詩人バイロンの16編からなる未完の長編叙事詩。1819年に第1、2編刊行後、次々と発表、最後の第15、16編は死の1か月前(1824)に出た。セビーリャの一青年ドン・ジュアンは16歳のとき、人妻との恋のゆえ国外に逃れるが、暴風のためギリシアの島に漂着する。海賊の娘を恋し、そのため奴隷としてコンスタンティノープルへ売られるが、脱走してダニューブ(ドナウ)のロシア軍の陣営にたどり着く。そこで武勲をたてて、キャサリン女帝の寵(ちょう)を受け、ついにその使者としてイギリスに渡り、イギリスの文物を次々と槍玉(やりだま)にあげるところで中絶する。人間と社会、ことにイギリスの支配階級とその文化を冷嘲(れいちょう)かつ痛罵(つうば)した作品として、詩人の最後を飾る。

[上田和夫]

『小川和夫訳『ドン・ジュアン』上下(1993・冨山房)』


ドン・ジュアン(ドン・ファン)
どんじゅあん

ドン・ファン

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デジタル大辞泉プラス 「ドンジュアン」の解説

ドン・ジュアン

①《Don Juan》チュニジア出身の作曲家フェリックス・グレイによるフランス語のミュージカル。フラメンコをベースとした曲にのせて、スペインの伝説のプレイボーイ、の物語を描く。ジル・マウの演出により、2004年にカナダにて初演。
②宝塚歌劇団による舞台演目のひとつ。2016年、神奈川芸術劇場にて雪組が初演。①の潤色作品。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドンジュアン」の意味・わかりやすい解説

ドン・ジュアン
Don Juan

イギリスの詩人バイロンの風刺的物語詩。 16巻で未完。 1819~24年刊。ドン・フアンの物語を追いながら全編を通じてバイロン一流の機知と冷笑によって当時のイギリス社会が痛烈に風刺されている。

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世界大百科事典(旧版)内のドンジュアンの言及

【バイロン】より

…そこには因襲への抵抗と懐疑,大胆な自我宣言が共通にみられる。これと並行して風刺詩《ドン・ジュアン》(1819‐24),《審判の幻》(1822)も完成した。前者は冒険とロマンスのピカレスク風社会風刺詩の傑作である。…

【ピエロ】より

…白い円錐形の帽子をかぶり,灰色の長いズボンをはいて,跳んだりはねたりするこの道化役は,アルレッキーノのような主役ではなく,軽い脇役であり,仮面をつけず,白っぽいメーキャップをするのが特徴である。フランスでは,たとえばモリエールの《ドン・ジュアン》(1665)に田舎言葉まる出しのまぬけな百姓役として登場するが,1673年,イタリア人俳優ジャラトーニG.Giaratoni(ジラトーネ)が,真っ白なダブダブの衣装に幅広の帽子をかぶったピエロとしてパリの舞台に登場して以来,ピエロは圧倒的人気を博し,定期市の娯楽の主役となった。 同じイタリア喜劇に起源をもつ白塗り,白装束の召使にジリオがあるが,ジリオがフランス語化してジルgilleとなり,17世紀に〈間抜けのジル〉役としてフランスで人気者となった。…

※「ドンジュアン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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