ウォールド(読み)うぉーるど(英語表記)George Wald

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォールド」の意味・わかりやすい解説

ウォールド
うぉーるど
George Wald
(1906―1997)

アメリカの生化学者。ニューヨーク市に生まれる。1927年ニューヨーク大学を卒業、さらにコロンビア大学で動物学を専攻し、1932年学位を取得した。その後、ベルリンワールブルクチューリヒカラー研究室で生理学を学ぶ。1934年ハーバード大学で生化学、のちに生物学の講師となり、1944年準教授、1948年教授に昇格した。1956年にはカリフォルニア大学の客員教授も務めた。

 ベルリン時代から視覚の研究に着手ビタミンAが目の網膜に存在し、重要な役割を果たしていることを発見した。網膜の桿体(かんたい)に含まれている、光を感じる色素ロドプシン(視紅)はビタミンAのアルデヒド誘導体タンパク質から構成されており、そのためビタミンAの摂取夜盲症などに有効であることを理論的に示した。1967年「視覚の生理学的・化学的基礎過程に関する発見」によって、ハートライングラニットとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。

[編集部]

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改訂新版 世界大百科事典 「ウォールド」の意味・わかりやすい解説

ウォールド
Abraham Wald
生没年:1902-50

ルーマニア生れのアメリカの数学者,数理統計学者。母国の地方大学を卒業後,1927年ウィーン大学に入学,数学(とくに幾何学)を学び,31年博士号を取得。宗教上の偏見のため学術的な地位に就けず,銀行家兼エコノミストのK.シュレジンガーと計量経済学の仕事を始め,32年以降は景気循環研究所でO.モルゲンシュテルンとともに仕事をした。38年夏ナチスの台頭を嫌って渡米,同年秋コロンビア大学でH.ホテリングのもとで統計学の集中的研究を始め,41年経済学の助教授,44年教授となる。46年に同大に創設の数理統計学科の運営に当たる。50年秋,インド旅行中航空機事故に遭遇,夫人とともに死亡。数学,数理経済学,確率論,統計学の分野で数多くの優れた論文を残した。とくに逐次抜取検査,統計的決定理論の研究は彼の独創に負うところが大きい。
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百科事典マイペディア 「ウォールド」の意味・わかりやすい解説

ウォールド

米国の生化学者。ニューヨーク大学卒。ドイツに留学しワールブルクの指導を受ける。のちハーバード大学教授。網膜中にビタミンAの誘導体(レチナール)を発見。視覚の化学的・生理学的基礎過程に関する研究で1967年ノーベル生理医学賞。

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367日誕生日大事典 「ウォールド」の解説

ウォールド

生年月日:1902年10月31日
アメリカ(ルーマニア生まれ)の数理経済学者,推計学者
1950年没

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世界大百科事典(旧版)内のウォールドの言及

【決定理論】より

…個人や企業などが意思決定や経営政策の決定を行おうとする際には,いろいろな不確実な条件が存在することが多いので,それらに対して適切な考慮をして,良い決定を下し,行動しなければならない。選択可能な行動のうちで,実際にどれをとるのがよいかを統計学的な考察によって評価する理論を決定理論あるいは〈統計的決定理論〉という。この理論では,まずとりうる行動を列挙し,また不確実な条件についても,実現する可能性のあるもの(これを〈状態〉とよぶ)を列挙する。…

※「ウォールド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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