ウバガイ(その他表記)Buccardium sybille(=Spisula sacchaliensis

改訂新版 世界大百科事典 「ウバガイ」の意味・わかりやすい解説

ウバガイ (姥貝)
Buccardium sybille(=Spisula sacchaliensis

別名ホッキガイ。殻がはなはだ厚く,重くて大きいバカガイ科の二枚貝。長さ9.5cm,高さ7.5cm,膨らみ4.5cmに達する。幼貝のときは殻皮は淡黄白色であるが,成長すると暗褐色で厚く粗くなり,また殻頂のほうははげて殻がむき出しになる。内面は白色で,殻頂の下のかみ合せの歯は強く大きく,また殻を開く黒褐色の大きい弾帯が歯の間のくぼみにある。冬から春にかけて桁網で採取する。産卵期は6~8月で,5年で殻の長さは7.2cm,10年で8.3cm,20年で9.4cm内外になり,30年も生きた個体がある。本州の東北地方以北,オホーツク海,日本海のシベリア側沿海州朝鮮半島分布し,外洋に面した浅海の砂底にすみ,海が荒れると海岸によく打ち上げられる。肉は軟らかくて美味。足の部分は赤みを帯びる。干乾物缶詰にされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウバガイ」の意味・わかりやすい解説

ウバガイ
うばがい / 姥貝
Sakhalin surf clam
[学] Spisula syballae

軟体動物門二枚貝綱バカガイ科の二枚貝。通称をホッキガイ(北寄貝)という。常磐(じょうばん)地方以北の太平洋側、オホーツク海、日本海北部などの、外洋に面した浅海の砂底にすむ。殻長95ミリメートル、殻高75ミリメートル、殻幅45ミリメートルに達する卵形で、殻は厚くて重い。殻表は灰黄色で、その上に厚い藁(わら)色の殻皮をかぶっている。殻皮は、殻頂から後腹端にかけての線上両側からあわさるため稜(りょう)状となる。殻頂下には厚く大きい鉸歯(こうし)と弾帯がある。弾帯は大きい三角形の弾帯受けというくぼみにはまっている。軟体はバカガイに似るが、色はまったく異なり、足は紫灰色である。美味なため、刺身や酢の物として生食されるほか、干物、缶詰となる。産卵期は6~8月、殻は5年で長さ70ミリメートル、10年で83ミリメートル、20年でようやく94ミリメートルに達する。30年以上長生きする個体もあるといわれる。

[奥谷喬司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウバガイ」の意味・わかりやすい解説

ウバガイ
Pseudocardium sybillae; Sakhalin surf clam

軟体動物門二枚貝綱バカガイ科。別名ホッキガイ。殻長 9.5cm,殻高 7.5cm,殻幅 4.5cm。殻は卵円形でよくふくらみ,幼貝は黄色で薄質であるが,成貝は暗褐色でやや厚い殻皮をかぶる。殻の内面は灰白色で,殻頂の下に大きく強い 鉸歯と,黒色の大きな弾帯 (内靭帯) の乗る弾帯受がある。軟体の足は桃赤色。本州東北地方以北,オホーツク海,沿海州,朝鮮半島東岸に分布し,外海に面した砂泥底にすむ。産卵期は4~8月。冬から春にかけて桁網でとるが,養殖もしている。食用に供され,乾物,缶詰にもする。

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百科事典マイペディア 「ウバガイ」の意味・わかりやすい解説

ウバガイ

ホッキガイとも。バカガイ科の二枚貝。高さ7.5cm,長さ9.5cm,幅4.5cm,殻は厚く重い。殻表は白色で,幼貝では黄色,成貝では暗褐色の殻皮をかぶる。鹿島灘〜オホーツク海,朝鮮に分布。外洋に面した浅海の砂底にすむ。産卵期6〜8月。肉は柔らかくて美味,足を干物にも利用し,養殖も行われる。

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栄養・生化学辞典 「ウバガイ」の解説

ウバガイ

 [Spisula sachalinensis].ホッキ貝ともいう.ハマグリ目バカガイ科の二枚貝.日本北部の浅海でとれる.

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