日本大百科全書(ニッポニカ) 「エオス」の意味・わかりやすい解説
エオス
えおす
Ēōs
ギリシア神話の曙(あけぼの)の女神。ローマ名ではアウロラ。ティタン神族ヒペリオンとテイアの娘で、太陽神ヘリオスと月神セレネの同胞。同族アストライオスの妻で、風や星たちの母ともされる。彼女はランポス(光)とファエトン(輝くもの)という名の二頭引きの馬車に乗り、毎朝太陽神ヘリオスの出現を告げながら空を駆ける。彼女は軍神アレスと交わったためにアフロディテの怒りを買い、その罰として、オリオン、ケファロス、ティトノス、クレイトスなど多くの人界の若者と恋に落ちた。夫アストライオスとの間には、風の神ゼフィロス、ノトス、ボレアス、さらに明けの明星などの子をもうけた。詩人たちは、「バラ色の指をもつ女神」「サフランの衣をまとった女神」と彼女を賛美した。
[小川正広]