エオス(その他表記)Ēōs

デジタル大辞泉 「エオス」の意味・読み・例文・類語

エオス(Eōs)

ギリシャ神話で、あけぼの女神。2頭立ての馬車に乗り、太陽神ヘリオス先駆として空を走る。ローマ神話アウロラオーロラ)にあたる。

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精選版 日本国語大辞典 「エオス」の意味・読み・例文・類語

エオス

  1. ( [ギリシア語] Ēōs ) ギリシア神話の曙の女神。ヒュペリオンティア(またはパラス)の娘。戦車に乗り、太陽神ヘリオスの先駆として空をかける。ローマ神話のアウロラ(オーロラ)に当たる。

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改訂新版 世界大百科事典 「エオス」の意味・わかりやすい解説

エオス
Ēōs

ギリシア神話の曙の女神。ローマ神話のアウロラ(英語のオーロラ)Auroraにあたる。ティタン神族のヒュペリオンの娘で,太陽神ヘリオスと月の女神セレネの姉妹。同じくティタン神のひとりアストライオス(〈星男〉の意)とのあいだにゼフュロスZephyros(西風),エウロスEuros(東風),ノトスNotos(南風),ボレアスBoreas(北風)などの風神と,暁の明星その他の星を生んだ。ランポス(光)とファエトン(輝く者)という名の2頭の馬がひく戦車に乗り,太陽神の先駆けとなって大空をはせる女神は,ホメロス叙事詩に〈ばら色の指をもてる〉〈サフラン色の衣をまとえる〉女神と歌われている。彼女はまた美男子の狩人オリオン,アッティカの王子ケファロストロイア王プリアモスの兄弟ティトノスらを恋人として誘拐したが,ティトノスとのあいだにもうけた子メムノンは,トロイア戦争アキレウスに討たれた。朝の露は彼の死を悼むエオスの涙であるという。
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百科事典マイペディア 「エオス」の意味・わかりやすい解説

エオス

ギリシア神話の曙の女神。ローマ神話ではアウロラAurora(英語のオーロラ)。ヒュペリオンとテイアの娘。2頭の馬にひかれた戦車に乗り,太陽の先駆けとして空を馳せる同神は,ホメロスにより〈バラ色の指持てる〉〈サフラン色の衣まとえる〉と歌われている。西風ゼフュロス,南風ノトス,北風ボレアスなどの母。
→関連項目アウロラヒュペリオンボレアスメムノン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エオス」の意味・わかりやすい解説

エオス
えおす
Ēōs

ギリシア神話の曙(あけぼの)の女神。ローマ名ではアウロラ。ティタン神族ヒペリオンとテイアの娘で、太陽神ヘリオスと月神セレネの同胞。同族アストライオスの妻で、風や星たちの母ともされる。彼女はランポス(光)とファエトン(輝くもの)という名の二頭引きの馬車に乗り、毎朝太陽神ヘリオスの出現を告げながら空を駆ける。彼女は軍神アレスと交わったためにアフロディテの怒りを買い、その罰として、オリオン、ケファロス、ティトノス、クレイトスなど多くの人界の若者と恋に落ちた。夫アストライオスとの間には、風の神ゼフィロス、ノトス、ボレアス、さらに明けの明星などの子をもうけた。詩人たちは、「バラ色の指をもつ女神」「サフランの衣をまとった女神」と彼女を賛美した。

[小川正広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エオス」の意味・わかりやすい解説

エオス
Eos

ギリシア神話の曙の女神。ティタンのヒュペリオンテイアを父母とし,太陽ヘリオスと月セレネの姉妹にあたる。トロイの王子ティトノスを愛し,その種によってトロイ戦争で活躍する英雄メムノンを生んだ。しかしこの愛人のためにゼウスから不死を得てやりながら,不老を同時に願うのを忘れたために彼は老衰し,ついにはエオスによってせみに変えられたという。

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世界大百科事典(旧版)内のエオスの言及

【ウマ(馬)】より

… ところでこの馬に引かれた戦車に関連して,おそらくインド・ヨーロッパ語系の民族の移動とともに広まった神話が,広く旧大陸には分布している。すぐ思い出されるのはギリシア神話で,天馬があけぼのの女神エオスの車を引き,ファエトンが太陽神ヘリオスの二輪車を御し,天神ゼウスによってうたれる物語であろう。《リグ・ベーダ》でも,英雄神であるインドラは,2頭の名馬の引く戦車に乗って空を駆け,火の神,かつ太陽神であるアグニも輝く車に乗っている。…

【オリオン】より

…この先,彼の最期についてはさまざまの伝承がある。2人の仲を心配した兄神アポロンが妹のアルテミスをだまして,沖で遊泳中のオリオンを遠矢で殺させたとする説,オリオンがアルテミスを犯さんとしたため女神に射殺された,あるいは女神の放ったサソリに刺されて死んだとする説,さらには,オリオンは曙の女神エオスに恋人としてさらわれたが,それが他の神々の不興を招いたため,デロス島でアルテミスに射殺されたとする説等である。死後,彼は天に上げられて星となり,アトラスの七人娘プレイアデス(すばる)を追いかける一方,みずからはつねにさそり座の星から逃れようとしているという。…

【ケファロス】より

…アテナイ王エレクテウスの娘プロクリスProkrisの夫。曙の女神エオスに恋人としてさらわれたが,妻を恋慕してやまなかったので,女神のもとから故国に帰された。このとき彼はみずからの姿形を変え,高価な贈物をもって妻に近づき,彼女の貞節を試したため,そのしうちに憤った彼女は家を出たが,やがて2人は仲直りした。…

【セミ(蟬)】より

…中国では副葬品として含蟬と称するものがあった。ギリシアでは〈黄金のセミ〉がアポロンの持物であり,また日の出とともに鳴き始めるので暁の女神エオス(ローマではアウロラ)の持物ともされる。 日本の子どもはセミをとるのに細い竹竿の先にとりもちを塗ったものか,口径の小さい捕虫網を用いるが,東南アジアでは木の幹にとりもちを塗って大量のセミをとり,油いため,空揚げにして食する。…

【ティトノス】より

…ギリシア神話の曙の女神エオスの恋人。トロイア王ラオメドンの子でプリアモスとは兄弟。…

【涙】より

… 涙がなにか別のものに変わる神話や伝説も多い。愛する息子メムノンを失って以来,曙の女神エオスの流す涙は朝露となって地上のすべてをぬらしている。悲しみの妖精の涙は真珠になって虹の7色に光る(アンデルセン《最後の真珠》)。…

※「エオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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