ヘリオス(その他表記)Hēlios

デジタル大辞泉 「ヘリオス」の意味・読み・例文・類語

ヘリオス(Hēlios)

ギリシャ神話で、太陽の神。毎日、4頭立ての馬車天空を東から西に横切り、夜の間に黄金の杯で大洋オケアノスを航海して、東に戻ると考えられていた。

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精選版 日本国語大辞典 「ヘリオス」の意味・読み・例文・類語

ヘリオス

  1. ( [ギリシア語] Hēlios ) ギリシア神話太陽神ヒペリオンの子。曙の女神エオス、月の女神セレネの兄弟。毎朝四頭立の馬車で東の宮殿を出、夕方西の宮殿に入り、夜黄金の船で東の宮殿にもどるという。ローマ神話ではソールと同一視された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヘリオス」の意味・わかりやすい解説

ヘリオス
Hēlios

ギリシア神話の太陽神。ティタンヒュペリオンHyperiōnの子で,曙の女神エオスと月の女神セレネの兄弟。キルケファエトンの父。毎朝,四頭立ての戦車に駕して東の宮殿を出,天の穹窿きゆうりゆう)を横切って,夕方,西の涯に到着,ついで夜のうちに黄金の杯に乗ってオケアノスの流れを航行し,東の宮殿に帰りつくと考えられた。信仰の対象とされることはまれであったが,ロドス島民だけは熱心に彼を崇拝し,前3世紀にはロドス港の入口に古代世界の七不思議に数えられる巨大な太陽神像が立っていた。彼はしばしば光明の神アポロンと,また古代ローマ人からは彼らの太陽神ソルSolと同一視された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘリオス」の意味・わかりやすい解説

ヘリオス
Hēlios

ギリシア神話の太陽神。ティタンのヒュペリオンテイアの子で,月女神セレネおよび曙女神エオスの兄弟。オケアノスの娘ペルセイスと結婚して,息子アイエテスと娘キルケ,パシファエらをもうけ,またこれもオケアノスの娘クリュメネにはファエトンとヘリアデスたちを産ませた。4頭の馬に黄金の戦車を引かせ,日ごと空を東から西に横切り,日没時にオケアノスに入り,世界を取巻くこの大洋の流れの上を馬車ごと黄金の巨大な盃に乗って航行し,また東に戻るとされ,この神の目からは,地上のいかなる事件も隠すことはできないと信じられた。ファエトンに馬車を貸し,世界に火災を発生させた話は有名。ローマではソルと同一視され,のちにはアポロンと混同されるようになった。

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百科事典マイペディア 「ヘリオス」の意味・わかりやすい解説

ヘリオス

ギリシア神話の太陽神。曙女神エオス,月神セレネの兄弟,キルケ,ファエトンの父。4頭立ての黄金の戦車を駆り,東から上って西に沈み,オケアノスの流れを黄金の杯に乗って戻ると考えられた。アポロン,ローマのソルSolと同一視される。ロドス島の巨大なヘリオス像は古代の七不思議のひとつ。
→関連項目太陽崇拝ヒュペリオン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘリオス」の意味・わかりやすい解説

ヘリオス
へりおす
Helios

ギリシア神話の太陽神。ティタン族のヒペリオンとテイアの子。月の女神セレネと曙(あけぼの)の女神エオスの兄弟。オケアノスの娘ペルセイスと結婚し、アイエテス、キルケ、パシファエなどを得たが、さらに妾腹(しょうふく)によってもファエトンなど多くの子を得た。ヘリオスは、毎日四頭立ての馬車を駆って天空を東から西へ渡り、夜間黄金の鉢に乗ってオケアノスの流れを東の地へ戻るとされた。また天空を通過するときすべてを眼下に見下ろすところから、誓いの証人ともされた。しかしヘリオス信仰は、これを守護神とするロードス島を除き、ギリシアではあまり盛んではなかった。ローマ神話のソールと同一視される。

[丹下和彦]

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デジタル大辞泉プラス 「ヘリオス」の解説

ヘリオス

デンマークの作曲家カール・ニールセンの管弦楽曲(1903)。原題《Helios Overture》。エーゲ海に日が昇る情景に感動して作曲されたといわれる。

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世界大百科事典(旧版)内のヘリオスの言及

【惑星】より

…ボエジャー2号は81年8月,土星から3万8000kmまで接近して,ボエジャー1号の観測から生まれた新たななぞを解くためのデータ収集を行った後,天王星および海王星に向けて飛行し,天王星には86年1月,海王星には89年8月最接近した。
[その他]
 惑星系探査機としては,以上のほかに1960年3月,史上初の惑星空間探査機として発射されたアメリカのパイオニア5号,西ドイツがNASA(ナサ)の協力の下,太陽探査のため,太陽から0.3天文単位の距離まで送り込んだヘリオス1,2号(それぞれ1974年,76年打上げ)および太陽と地球の間で双方の重力がつりあうラグランジュ点で太陽風の観測を行ってきたISEE3(international san‐earth explorersの略。1978年ESA(イーザ)とNASAの協力)がある。…

【ウマ(馬)】より

… ところでこの馬に引かれた戦車に関連して,おそらくインド・ヨーロッパ語系の民族の移動とともに広まった神話が,広く旧大陸には分布している。すぐ思い出されるのはギリシア神話で,天馬があけぼのの女神エオスの車を引き,ファエトンが太陽神ヘリオスの二輪車を御し,天神ゼウスによってうたれる物語であろう。《リグ・ベーダ》でも,英雄神であるインドラは,2頭の名馬の引く戦車に乗って空を駆け,火の神,かつ太陽神であるアグニも輝く車に乗っている。…

【キルケ】より

…ギリシア神話の女神。太陽神ヘリオスの娘で,伝説的なアイアイエAiaiēという島に住み,魔法に長じていた。ホメロスの《オデュッセイア》によれば,オデュッセウスとその部下たちがこの島に着き彼女の館を訪れたとき,彼女は部下たちに魔法の酒を飲ませて豚に変えた。…

【ファエトン】より

…ギリシア神話で,太陽神ヘリオスの子。その名は〈輝く者〉の意。…

※「ヘリオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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