エチミアジン(読み)えちみあじん(英語表記)Эчмиадзин/Echmiadzin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エチミアジン」の意味・わかりやすい解説

エチミアジン
えちみあじん
Эчмиадзин/Echmiadzin

アルメニア共和国の都市。人口6万5500(1999)。1945年まではワガルシャパトВагаршапат/Vagarshapatと称した。アララト平野に位置し、共和国首都エレバンから西方20キロメートルにあたり、鉄道駅から市街までは15キロメートル離れている。プラスチック、工芸品、電子部品、金属加工、食品加工などの工場があり、郷土館、図書館司書養成学校、絵画館などが置かれている。

 市はカフカス地域屈指の古都で、またアルメニア正教会の司教座が置かれたために市勢はきわめて盛んであった。現在の市域のなかにも紀元前2世紀に古代都市バルツケサバンがあったことが確かめられ、紀元後1~2世紀に国王バガルシエ1世にちなむ都市バガルシャパトがあり、2世紀後半から4世紀にかけてアルメニア古代王国の首都であった。現在も旧市内は曲がりくねった細道が多く、303年建立(7世紀に改築)の大聖堂、トラベズナヤ修道院(17世紀建立)があり、そのほかリプシメ教会(7世紀)、ガヤーネ教会(7世紀)、ショカガット教会(17世紀)などが保存されている。近郊にも教会などの遺跡が多い。

渡辺一夫

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エチミアジン」の意味・わかりやすい解説

エチミアジン
Ejmiatsin; Ejmiadzin

アルメニア西部の都市。1945年までバガルシャパト Vagarshapat。首都エレバンの西約 20km,アラス川流域の平野にある。前6世紀にさかのぼる古都で,140~344年に古代アルメニアの首都であり,300年頃にはエチミアジン大聖堂にアルメニア・カトリックの大主教座が置かれた。その後 453年大主教座はほかに移されたが,1441年に戻り,以後アルメニア教会の中心地となっている。リプシメ聖堂(618),ガヤネ聖堂(630)など古い建築物が保存されており,これらの教会群,大聖堂は 2000年スバルトノツ教会の遺跡とともに世界遺産の文化遺産に登録された。工業が発達し,ブランデー「アララト」の製造,プラスチック加工,缶詰製造などの工場がある。人口 5万7300(2008推計)。

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