キューバ生まれのフランス詩人。父はキューバ人、母はフランス人。1851年に渡仏、サンリスの高等中学校(リセ)に学ぶ。1859~61年にキューバに一時戻るころからルコント・ド・リールの影響下に詩作を開始、のちパリの古文書学校に学び、高踏派詩人たちと交わる。その詩業はもっぱら十四行詩(ソネ)の彫琢(ちょうたく)に捧(ささ)げられ、端正な詩形式のなかに、ギリシア神話、ローマ時代の史実や田園風景、中世宗教画の世界、金銀細工、スペインの新大陸征服者たちの冒険、日本武士の勇姿、ブルターニュの自然の崇高な美しさなどを描き出し、歌い上げている。さまざまな雑誌や3次にわたる『現代高踏派詩集』に掲載されたこれらの十四行詩は、93年に初めて『戦勝牌(はい)』と題する一巻の詩集に編まれ、高踏派美学の集成と終焉(しゅうえん)を画した。また長編叙事詩『黄金の征服者たち』(『第二次高踏派詩集』所収・1871)も残し、高踏派末期の代表的詩人となった。
[遠山博雄]
『ピエール・マルチノ著、木内孝訳『高踏派と象徴主義』(1969・審美社)』
キューバ在住のスペイン人を父,ルーアン生れのフランス人を母とするフランスの詩人。ルコント・ド・リールの忠実な弟子となり,詩の形式面の彫琢に重きを置いた高踏派の〈芸術性〉志向の面を代表する。十四行詩(ソネ)の名手として,高度の規則性をもつこの短詩型の可能性を倦むことなく追究した彼の詩業は,《戦勝牌》(1893)にまとめられたが,それは118編の十四行詩から成り,ギリシア・ローマの古代,ルネサンスなど過去の文明や彼の祖先である新大陸征服者の栄光,さらに東洋・熱帯圏など遠い異国の風景を12音綴14行の中に巧みに歌いこんだもので,日本にちなんだ《サムライ》《大名》の2編も含まれている。
執筆者:松室 三郎
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