出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イギリスの詩人キーツの長編物語詩。4巻4060行からなる。「麗しきものは永遠(とわ)に喜びであることをやめない」という有名な一行で始まる。主人公エンディミオンは、ギリシア神話では永遠の眠りに陥ったままで月の女神から受動的に愛されるだけの美青年であるが、この作品ではひたすら月の女神に恋い焦がれ、そのおもかげを求めて夢ともうつつともつかぬ世界をさまよい、さまざまの異常なできごとに遭遇する。美にあこがれ美を追求するキーツ自身の歓喜と苦悩とが色濃くにじみ出た注目すべき作品だが、芸術的完成度は高いとはいいがたい。
[御輿員三]
『大和資雄訳『エンディミオン』(岩波文庫)』
ギリシア神話の月の女神セレネに愛された羊飼い。王あるいは猟師だったとする説もある。セレネは絶世の美少年エンディミオンを恋するあまり、不老不死の永遠の眠りを彼に授けた。そのため夜ごとセレネがラトモスの山を訪れ、彼の傍らに横たわって愛撫(あいぶ)を与えても、永遠にまどろむ彼はそれにこたえることもなかった。この2人の間には50人の娘があったとする伝承もあるが、これはオリンピア祭の期間である50か月を伝説化したものである。
[小川正広]
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…だがその後は,アフガニスタン政策の蹉跌(さてつ),南アフリカ植民地での戦争の敗北などが重なってしだいに民心を失い,80年の総選挙に大敗して政権の座を下った。なおこの間,76年に爵位を得てビーコンズフィールド伯となり,80年には自伝風の最後の小説《エンディミオン》を著した。翌81年,喘息を伴う気管支炎にかかって死去,自領ヒューエンデンの教会に葬られた。…
…月の女神セレネSelēnēは,ラトモス山中で眠っている少年を見て恋心を覚え,その美しさを飽かず眺めていられるよう,彼に永遠の眠りを与え,日が沈むと地上に降っては,若さを保ったまま眠りつづける恋人と夜をともにしたという。キーツの長詩《エンディミオン》は,永遠の美の探求をこの神話に託して歌った作品として名高い。【水谷 智洋】。…
…ペトラルカ形式のソネット《チャップマン訳ホメロスを初めて読みて》は20歳の時の傑作で,新古典主義の文体で書かれたポープ訳ホメロスが一般的であった時代にあって,17世紀初頭に書かれたG.チャップマン訳に感動したキーツの感性は,まさにロマン派のそれであったと言える。これら初期の詩を集めた処女詩集が22歳で出るが,短詩が多く,偉大な詩人たらんとしたキーツは大作を書くことにとりつかれ,1817年《エンディミオン》を執筆する。その間にも彼はシェークスピアを耽読し,翌年1月にはソネット《リア王再読》を書き,初期の詩で追求した感覚美に満ちたスペンサー的ロマンスの世界との決別を表明する。…
…その後,まだ美少女だったスキュラSkyllaに求愛したものの相手にされなかったため,魔女キルケに助力を請うたところ,彼女はスキュラを海の女怪に変じてしまったという。この話はイギリスの詩人キーツの長詩《エンディミオン》の中でも,海神みずからの口から語られている。(2)英雄。…
※「エンディミオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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