エンディミオン

デジタル大辞泉 「エンディミオン」の意味・読み・例文・類語

エンディミオン

Endymiōnギリシャ神話で、月の女神セレネに愛された羊飼い美少年不老不死の永遠の眠りを与えられた。エンデュミオン
原題Endymionキーツによる長編の物語詩。1818年刊。全4巻。着想を得た作品

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精選版 日本国語大辞典 「エンディミオン」の意味・読み・例文・類語

エンディミオン

  1. ( [ギリシア語] Endymiōn ) ギリシア神話の若く美しい羊飼い。月の女神セレネに愛され、彼女の願いによってゼウスから不老不死の永遠の眠りを与えられた。

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改訂新版 世界大百科事典 「エンディミオン」の意味・わかりやすい解説

エンディミオン
Endymion:A Poetic Romance

イギリス詩人ジョン・キーツ作の英雄体二行連句で書かれた4部からなる物語詩。1817年4~11月執筆,18年出版。オウィディウスの《転身物語》,M.ドレートンの《月影の人》(1606)などを材源とするこの詩で,牧者エンディミオンが第1部において夢の中で出会う月の女神シンシアを求めて,地下(第2部),海底(第3部),空(第4部)と彷徨し,最終部で出会う〈インドの少女〉が実はシンシアへと変身する。理想美と現実,想像力と真理との相互関係を寓喩化した作品である。
エンデュミオン
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンディミオン」の意味・わかりやすい解説

エンディミオン(キーツの物語詩)
えんでぃみおん
Endymion

イギリスの詩人キーツの長編物語詩。4巻4060行からなる。「麗しきものは永遠(とわ)に喜びであることをやめない」という有名な一行で始まる。主人公エンディミオンは、ギリシア神話では永遠の眠りに陥ったままで月の女神から受動的に愛されるだけの美青年であるが、この作品ではひたすら月の女神に恋い焦がれ、そのおもかげを求めて夢ともうつつともつかぬ世界をさまよい、さまざまの異常なできごとに遭遇する。美にあこがれ美を追求するキーツ自身の歓喜苦悩とが色濃くにじみ出た注目すべき作品だが、芸術的完成度は高いとはいいがたい。

[御輿員三]

『大和資雄訳『エンディミオン』(岩波文庫)』


エンディミオン(ギリシア神話)
えんでぃみおん
Endymiōn

ギリシア神話の月の女神セレネに愛された羊飼い。王あるいは猟師だったとする説もある。セレネは絶世の美少年エンディミオンを恋するあまり、不老不死の永遠の眠りを彼に授けた。そのため夜ごとセレネがラトモスの山を訪れ、彼の傍らに横たわって愛撫(あいぶ)を与えても、永遠にまどろむ彼はそれにこたえることもなかった。この2人の間には50人の娘があったとする伝承もあるが、これはオリンピア祭の期間である50か月を伝説化したものである。

[小川正広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンディミオン」の意味・わかりやすい解説

エンディミオン
Endymion

イギリスの詩人 J.キーツのギリシア神話に取材した物語詩。4巻 4050行から成り,1818年刊。第1巻ではラトモス山麓の牧羊者王国の若い君主エンディミオンが,月の女神シンシアを夢に見て恋し,彼女を求めて旅に出る。2巻,3巻は地下と海底の放浪を描き,ビーナスとアドニス,アルペイオスとアレトゥーサ,グラウコスとスキューレの悲話伝説が組込まれる。第4巻ではインドの少女に恋した主人公が,天上と地上の両対象に引裂かれて悩むが,インドの少女は実は月の女神の化身であることがわかり,主人公は女神とともに天上界へ昇っていく。理想美の探求が現実の美の追求によって成就されることを示す寓意物語と解釈される。キーツ自身がこの作品を「成就された仕事というよりは熱病的な試み」と評した序文は有名。なお J.リリーと B.ディズレーリに同名の作品がある。 (→エンデュミオン )  

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デジタル大辞泉プラス 「エンディミオン」の解説

エンディミオン

米国の作家ダン・シモンズの長編SF(1996)。原題《Endymion》。「ハイペリオン四部作」の第3作。

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世界大百科事典(旧版)内のエンディミオンの言及

【ディズレーリ】より

…だがその後は,アフガニスタン政策の蹉跌(さてつ),南アフリカ植民地での戦争の敗北などが重なってしだいに民心を失い,80年の総選挙に大敗して政権の座を下った。なおこの間,76年に爵位を得てビーコンズフィールド伯となり,80年には自伝風の最後の小説《エンディミオン》を著した。翌81年,喘息を伴う気管支炎にかかって死去,自領ヒューエンデンの教会に葬られた。…

【エンデュミオン】より

…月の女神セレネSelēnēは,ラトモス山中で眠っている少年を見て恋心を覚え,その美しさを飽かず眺めていられるよう,彼に永遠の眠りを与え,日が沈むと地上に降っては,若さを保ったまま眠りつづける恋人と夜をともにしたという。キーツの長詩《エンディミオン》は,永遠の美の探求をこの神話に託して歌った作品として名高い。【水谷 智洋】。…

【キーツ】より

…ペトラルカ形式のソネット《チャップマン訳ホメロスを初めて読みて》は20歳の時の傑作で,新古典主義の文体で書かれたポープ訳ホメロスが一般的であった時代にあって,17世紀初頭に書かれたG.チャップマン訳に感動したキーツの感性は,まさにロマン派のそれであったと言える。これら初期の詩を集めた処女詩集が22歳で出るが,短詩が多く,偉大な詩人たらんとしたキーツは大作を書くことにとりつかれ,1817年《エンディミオン》を執筆する。その間にも彼はシェークスピアを耽読し,翌年1月にはソネット《リア王再読》を書き,初期の詩で追求した感覚美に満ちたスペンサー的ロマンスの世界との決別を表明する。…

【グラウコス】より

…その後,まだ美少女だったスキュラSkyllaに求愛したものの相手にされなかったため,魔女キルケに助力を請うたところ,彼女はスキュラを海の女怪に変じてしまったという。この話はイギリスの詩人キーツの長詩《エンディミオン》の中でも,海神みずからの口から語られている。(2)英雄。…

※「エンディミオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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