日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンディミオン」の意味・わかりやすい解説
エンディミオン(キーツの物語詩)
えんでぃみおん
Endymion
イギリスの詩人キーツの長編物語詩。4巻4060行からなる。「麗しきものは永遠(とわ)に喜びであることをやめない」という有名な一行で始まる。主人公エンディミオンは、ギリシア神話では永遠の眠りに陥ったままで月の女神から受動的に愛されるだけの美青年であるが、この作品ではひたすら月の女神に恋い焦がれ、そのおもかげを求めて夢ともうつつともつかぬ世界をさまよい、さまざまの異常なできごとに遭遇する。美にあこがれ美を追求するキーツ自身の歓喜と苦悩とが色濃くにじみ出た注目すべき作品だが、芸術的完成度は高いとはいいがたい。
[御輿員三]
『大和資雄訳『エンディミオン』(岩波文庫)』
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