日本大百科全書(ニッポニカ) 「エーベルソン」の意味・わかりやすい解説
エーベルソン
えーべるそん
Philip Hauge Abelson
(1913―2004)
アメリカの物理学者、化学者さらに編集者。ワシントン州タコマに生まれる。ワシントン州立大学、ついでバークリーのカリフォルニア大学に学び、1939年カーネギー研究所に助手として入所。E・M・マクミランを助けて核分裂の研究を行い、最初の超ウラン元素ネプツニウムを発見(1940)、第二次世界大戦中は、フィラデルフィアの海軍工廠(こうしょう)の実験研究部門で働き(1941~1946)、ウランの同位体の分離の研究(1943)と操業の指導にあたった。戦後は1946年にカーネギー研究所のスタッフの一員となり、1953年同研究所地球物理部門の部長(~1971)、1971年カーネギー研究所の代表となった(~1978)。微生物における生合成(1953)、化石中のアミノ酸(1955)、岩石中の脂肪酸(1956)などの研究を行う。編著書に『大腸菌における生合成の研究』Studies of Biosynthesis in Escherichia Coli(共著、1955年)、『地球化学研究』Researches in Geochemistry1、2巻(編著、1959、1967年)、『明日のエネルギー』Energy for Tomorrow(1975)、『新素材の開発と応用』Advanced Technology(編著、1980)、『ペシミズムはもうたくさん』Enough of Pessimism(1985)など多数ある。『地球物理学研究雑誌』Journal of Geophysical Researchの副編集長(1959~1965)、『サイエンス』Scienceの編集者(1962~1985)も務め、また全米科学アカデミー(NAS)、米国学士院(AAAS)のメンバーでもあった。
[道家達將]
『P・H・エーベルソン、M・ドーフマン編、堂山昌男・山本良一訳『新素材の開発と応用』1、2(1983、1984・東京大学出版会)』