日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネプツニウム」の意味・わかりやすい解説
ネプツニウム
ねぷつにうむ
neptunium
超ウラン元素の一つ。1940年アメリカのE・M・マクミランとエーベルソンは、238U(n,γ)239Uで生成したウランのβ-放射によってネプツニウム239(β-放射、半減期2.3日)が生成することを確認した。周期表でウランに続くので、天王星Uranusに次ぐ惑星である海王星Neptuneにちなんで命名された。また1942年には最長半減期の237Npも発見された。人工放射性元素であるが、ウラン鉱石中に自然核分裂によるものが微量含まれる。ネプツニウム237はもっとも半減期が長く(β-放射、214万年)、(4n+1)崩壊系列をつくる(ネプツニウム系列という)。原子炉の使用済み核燃料からウランとプルトニウムを回収した後の硝酸溶液からイオン交換樹脂による分離と溶媒抽出法を組み合わせてNp(Ⅳ)の溶液を取り出す。金属を得るにはフッ化物とし、これをアルゴン気流中高温でカルシウムによって還元する。銀白色の金属。空気中室温では酸化されないが、高温では酸化物の被膜をつくる。希塩酸に溶ける。酸化数Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶの化合物が知られる。室温ではα型、280~577℃でβ型、577~640℃でγ型となる。人工衛星などで小型動力源として用いられる。
[守永健一・中原勝儼]