オオマツヨイグサ(読み)おおまつよいぐさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオマツヨイグサ」の意味・わかりやすい解説

オオマツヨイグサ
おおまつよいぐさ / 大待宵草
[学] Oenothera glazioviana Micheli
Oenothera erythrosepala Borb.

アカバナ科(APG分類:アカバナ科)の二年草。根は白色の直根。根出葉は倒披針(とうひしん)形でロゼット状をなす。茎は高さ1.5メートル、白毛に覆われ、赤色の粒状突起がある。葉は互生し、有柄、狭長楕円(だえん)形で細毛があり、主脈は白い。花期は7~9月。つぼみは鈍四角形。萼(がく)は4枚で、合着して花を包み、開花前は帯黄赤色で2片ずつ反り返る。花弁は4枚、淡黄色、倒卵形で長さ4~5センチメートル、しぼんでから紅変しない(マツヨイグサなどは紅変する)。雄しべ8本、花柱は雄しべより長く、柱頭は4裂する。蒴果(さくか)は円柱形で3~4センチメートル、細白毛に覆われ、熟すと4裂する。

 明治初年に日本に入った北アメリカ原産の帰化植物で、北海道から九州に分布し、川原道端に多い。夕方開花し翌朝しぼむので近縁種のマツヨイグサ、ツキミソウとともに「宵待草(よいまちぐさ)」とよばれて古くから親しまれている。また1900年、オランダの植物学者ド・フリースにより、突然変異の実験材料として用いられたことは有名である。観賞用のほか、若葉食用となる。

[小林純子 2020年8月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オオマツヨイグサ」の意味・わかりやすい解説

オオマツヨイグサ(大待宵草)
オオマツヨイグサ
Oenothera erythrosepala

アカバナ科の多年草。日本をはじめ北半球各地に広く帰化して雑草化している。 19世紀にイギリスで観賞用に作出された園芸種といわれる。夜間に開花するマツヨイグサやツキミソウの仲間では最も大きな花をつける。冬の間は根出葉がロゼットをつくるが,春に伸び出す茎は高さ 1.5mにも達し,太くあらい毛が生えている。夏に,上部葉腋から長い柄をもつ径6~7cmの4弁の黄花を次々と出し,夕方に開花して翌朝しぼむ。しぼんだあとはやや赤みを帯びるが,マツヨイグサのようには赤変しない。日本には明治初年にやはり観賞用に輸入されたが,逸出して各地の河原土手などにしばしば大群落をつくっている。

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百科事典マイペディア 「オオマツヨイグサ」の意味・わかりやすい解説

オオマツヨイグサ

マツヨイグサ

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世界大百科事典(旧版)内のオオマツヨイグサの言及

【ツキミソウ(月見草)】より

…メキシコ原産で,日本には嘉永年間(1848‐54)に渡来したといわれるが,現在ではほとんど栽培されていない。一般にいうツキミソウは本種ではなく,同属の帰化植物として広く分布する黄色花のマツヨイグサやオオマツヨイグサを誤称していることが多い。 高さ60cmぐらいとなり,まばらに分枝する茎を直立し,あらい鋸歯のある披針形の葉を互生する。…

【マツヨイグサ(待宵草)】より

… 日本ではマツヨイグサやツキミソウをはじめ,20種近くが栽培されたり帰化しているが,ふつうに見られるものに次のものがある。 オオマツヨイグサO.erythrosepala Borb.(英名large‐flowered evening primrose)は,明治初年ころに日本に渡来し,全国的に河原や海浜に群生していたが,現在ではアレチマツヨイグサなどに置き代わられてめっきり少なくなり,むしろ山間部に散見されるようになった。草丈は1.5m,花は黄色で径8cm内外,花柱がおしべより長い。…

※「オオマツヨイグサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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