オランダ流(読み)オランダリュウ

デジタル大辞泉 「オランダ流」の意味・読み・例文・類語

オランダ‐りゅう〔‐リウ〕【オランダ流】

オランダ伝来、またはその系統流儀学問など。
「―の外科の所へやる」〈浮・万金丹・一〉
貞門ていもんの古風な俳諧を打破しようとした井原西鶴中心とする一派俳風。初め貞門一派がさげすみ用いた呼称。のちには清新奇抜を誇示する談林派一端を示す名称となる。

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精選版 日本国語大辞典 「オランダ流」の意味・読み・例文・類語

オランダ‐りゅう‥リウ【オランダ流】

  1. 〘 名詞 〙
  2. オランダ人によって伝えられた西洋の系統の流儀、方式、学問。おもに外科の医術についていう。紅毛流。
    1. [初出の実例]「阿蘭陀流(オランダリウ)金瘡(きんさう)名人栗崎道有といへる外科」(出典:評判記・色道大鏡(1678)六)
  3. 伝統的なものに対立する、普通とはかなり変わった革新的なものをさしていう。たとえば、西鶴などが中心となって、貞門俳諧マンネリズムを排撃してはじめた談林の清新奇抜な俳風を、貞門側はけなして「オランダ流」と呼んだが、談林側はみずから「オランダ流」を名乗って自派の俳風を誇示した。
    1. [初出の実例]「酔のあまり賤も狂句をはけは世人阿蘭陁流なとさみしてかの万句の数にものそかれぬ」(出典:俳諧・生玉万句(1673)序)

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世界大百科事典(旧版)内のオランダ流の言及

【生玉万句】より

…同年春,12日間にわたり,大坂生玉社において,鶴永が主催し興行した万句と追加百韻の各三つ物,および諸家による祝賀興行の百韻53巻の発句(ほつく)を収める。興行の意図は,鶴永らの一派を阿蘭陀(ナランダ)流とさげすみ,これを疎外して行われた既成勢力による万句に対抗したものという(序文)が,それを口実に中央俳壇進出の野心を満たすべく,鶴永のうった大きな賭けであろう。三つ物に句を寄せた俳壇の重鎮たちは,当日出席しなかったもようである。…

【談林俳諧】より

…談林とはもと僧侶の学寮をいい,初めに江戸の松意(しようい)一派がそれを名のったが,のちに宗因をいただく諸派の俳諧の総称となった。談林はまた,貞門が乗り越えるべく努めた《守武千句(もりたけせんく)》などの猥雑な俳風を復活させたために〈守武流〉,滑稽をこととする軽妙洒脱な詠み口から〈軽口(かるくち)〉,付合(つけあい)の連想飛躍を喜ぶところから〈飛躰(とびてい)〉,旧来の価値観を転倒させた異端性から〈阿蘭陀(オランダ)流〉とも呼ばれた。談林の時代は大体,寛文年間(1661‐73)の台頭期,延宝年間(1673‐81)の最盛期,天和年間(1681‐84)の衰退期の3期に分けられる。…

※「オランダ流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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