オランダ風説書(読み)おらんだふうせつがき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オランダ風説書」の意味・わかりやすい解説

オランダ風説書
おらんだふうせつがき

鎖国下、日本との貿易をとくに認められたオランダ船が、連年長崎来航にあたり幕府に提出した海外情勢に関する風説すなわちニュースを総括した書。起源は鎖国完成の1641年(寛永18)とみられる。当初はかならずしも提出が義務づけられたとは考えられないが、やがて通商許可に対する「御忠節」の性格を帯びるに至った。キリスト教禁制を強行し、日本人の海外渡航禁止の政策をとった幕府としては、海外情報源の確保はきわめて重要な意義をもつものであり、この手段としてオランダ人による風説書提出が案出されたものであった。現在知られている風説書は日本文・蘭(らん)文あわせて318通余、時期は1641年(寛永18)から1857年(安政4)に及んでいる。これらオランダ風説書は1976年(昭和51)『和蘭(オランダ)風説書集成』上下2冊(吉川弘文館)として刊行された。なおこのほか、幕末には中国におけるアヘン戦争関係情報として別個に「別段風説書」が提出されている。

[箭内健次]

『板沢武雄著『阿蘭陀風説書の研究』(1937・古文化研究所)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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