オルテリウス(読み)おるてりうす(英語表記)Abraham Ortelius

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルテリウス」の意味・わかりやすい解説

オルテリウス
おるてりうす
Abraham Ortelius
(1527―1598)

ベルギー地図学者。アントウェルペンアントワープ)に生まれ、生涯をそこで過ごした。イギリスフランスイタリアを旅行し、メルカトルらの地理学者親交があった。最初の地図学での業績は、1564年の8枚からなる世界大地図の制作で、1565年には2枚からなるエジプトの地図、1567年にはアジアの地図を出版した。多くの地図を収集し、その表現を統一して新たに編集したのが、有名な『世界の舞台』Theatrum Orbis Terrarumという地図帳で、ヨーロッパ最初の完備したものとして有名。この初版は1570年5月20日付けで、70枚の地図を53ページの地図帳としたものであるが、需要が多かったのでさらに2版を重ねた。そのうち1595年版には日本図が加えられたが、これは単独の日本地図としてはヨーロッパで最初のものである。

[市川正巳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オルテリウス」の意味・わかりやすい解説

オルテリウス
Ortelius, Abraham

[生]1527.4.14. アントウェルペン
[没]1598.7.4. アントウェルペン
ベルギーの骨董品収集家,製図家,地理学者。彫刻師修業をし,1547年アントウェルペン同業組合に加盟。 54年頃から骨董品と地図の販売を始めた。広く各地を旅行し友人メルカトルの影響を受けて,60年頃地図作成に興味をもちはじめた。 10年間にハート形の世界地図,エジプト,アジアの地図などをつくった。なかでも銅版印刷による地図帳『世界の舞台』 Theatrum orbis terrarumは彼の傑作である。これは 70の地図を含み,70年アントウェルペンで出版された。世界最初の近代的な地図帳として有名。

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