改訂新版 世界大百科事典 「地図帳」の意味・わかりやすい解説
地図帳 (ちずちょう)
atlas
多数の地図を一定の編集方針のもとに集録して,必要な解説などを付し,書籍の形にまとめたものを地図帳またはアトラスと呼んでいる。アトラスはギリシア神話の巨人神だが,G.メルカトルがその地図帳にアトラスの名を冠して以来,欧米では地図帳をアトラスと呼ぶようになった。
地図帳の歴史もまた地図の歴史とともに古く,今日では,多種多様な地図帳が発行されている。国の地図作成機関などが中心となり,多数の主題図などを駆使して,その国の自然,社会,経済,文化などを地図を通して表現した地図帳を国勢地図帳(ナショナル・アトラス)と呼んでいる。現在では世界の70ヵ国以上の国々が国勢地図帳を刊行している。このほかに,世界ないし日本などについて一般図を中心に,地名索引などを付した地図帳が古くから普及しており,また社会科の地図帳(スクール・アトラス)もどこの家にでもある地図帳であろう。さらに近年は,資源,海洋,気候,環境,歴史,地域計画,疾病など,多くの主題地図帳thematic atlasも,内外の官民の地図作成機関から刊行され,地図の多様化にともなって地図帳の世界も多様化しつつある。
執筆者:高崎 正義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報