日本大百科全書(ニッポニカ) 「オンオフ制御」の意味・わかりやすい解説
オンオフ制御
おんおふせいぎょ
on-off control
フィードバック制御における制御動作の一つで、制御量を一定の目標値に保つため、操作量をオンon、オフoffする動作からこの名でよばれる。操作量に二つの状態「1」「0」を当てはめているが、「0」はかならずしも、なにも操作しないとは限らない。二つの状態に対応させる制御をバングバング制御bang-bang controlともいう。
いずれも制御量と目標値との偏差が正であるか負であるか、その符号により、操作量の二つの状態の一つを選択する。身近な実例としてルームエアコンをあげよう。目標として設定された温度と温度センサーで計測された室内温度との偏差において、室温が低ければ制御の操作は「加熱」、室温が目標を超えれば加熱をやめる。この場合、加熱の「強」と「弱」としてもよいし、「加熱」と「冷却」としてもよい。いずれにしても制御の仕組みは簡単である。古いルームエアコンはこのような制御であった。オンオフ制御では、制御量である室温が目標値の上下にある幅で振動するのを回避できない。振動を除くには操作量を偏差に応じて連続的に変化させる連続制御としなければならない。実際に新しいルームエアコンでは連続制御が多く採用されている。
オンオフ制御は、制御量の多少の振動が問題にならない簡単な温度制御や液位の制御には広く使われている。また、設定値を超えると警報を発する回路では、ほとんどオンオフ動作である。この場合、設定値の近傍のノイズにより警報や動作が不必要に細かく断続しないよう、不感帯を設けることが多い。
[山﨑弘郎]
『計測自動制御学会編『自動制御ハンドブック 基礎編』(1983・オーム社)』▽『松山裕著『自動制御のおはなし』(1999・日本規格協会)』