オーラール(英語表記)Alphonse Aulard

改訂新版 世界大百科事典 「オーラール」の意味・わかりやすい解説

オーラール
Alphonse Aulard
生没年:1849-1928

フランスの歴史家。とくにフランス革命史の研究を厳密な史料研究の上に基礎づけた。1886年,パリ大学ソルボンヌ)にフランス革命史講座が設置されたとき,その初代担当教授となり,多くの史料集や著作を刊行した。その主著は《フランス革命政治史L'histoire politique de la Révolution française》(1901)で,フランス革命を1789年の人権宣言原理の実現過程として理解しようとした。すなわち,彼によれば,人権宣言の二大原理は権利の平等と国民主権であり,権利の平等の論理的帰結民主主義,国民主権の論理的帰結は共和制であるから,フランス革命は民主主義と共和制の起源および展開の過程である。この見解は,第三共和政理念を歴史的に基礎づけたものとして大きな影響を与えたが,のちに革命の社会経済構造を重視する人々の批判を招くこととなった。公安委員会議事録やジャコバン・クラブ関係文書などの史料集も刊行した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーラール」の意味・わかりやすい解説

オーラール
Aulard, François-Alphonse

[生]1849.7.19. シャラント,モンブロン
[没]1928.10.23. パリ
フランスの歴史家。フランス革命研究家。パリ大学教授 (1887~1922) 。雑誌『フランス革命』の創始者。フランス革命の研究に科学的分析方法を初めて導入したが,弟子であった A.マティエと,G.ダントン,M.ロベスピエールの評価をめぐって論争し,ついに師弟関係の崩壊にまでいたった。主著『フランス革命政治史』 Histoire politique de la Révolution française (1901) ,『フランス革命と封建制度』 La Révolution française et le régime féodal (19) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーラール」の意味・わかりやすい解説

オーラール
おーらーる
François Victor Alphonse Aulard
(1849―1928)

フランスの歴史家。1886年ソルボンヌ(パリ大学)にフランス革命史の講座が創設されたとき担当教官に招かれ、1922年退職するまでフランス革命史の研究、講義、指導に専念するとともに、フランス革命史協会およびその機関誌『フランス革命』の責任者として活動し、革命の実証的研究の基礎を置いた。代表作『フランス革命政治史』(1901)にみられるように政治史家で、とくに文献史料の批判を重視し、多くの革命関係史料集を出版した。『ジャコバン協会』(1889~98)、『公安委員会の記録集』(1889~1923)のほか、テルミドール反動期から第一帝政までのパリ市の史料集などがある。彼によって革命研究の学問的基礎が置かれたといえる。

前川貞次郎

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百科事典マイペディア 「オーラール」の意味・わかりやすい解説

オーラール

フランスの革命史家。パリ大学教授。1886年,フランス革命史講座の初代担当教授となる。共和主義者としてフランス革命の意義を強調し,民主主義と共和制の確立中心にすえて,《フランス革命の政治史》を著した。議会外の民衆運動や革命の経済史的側面には注目するに至らなかった。
→関連項目マティエ

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「オーラール」の解説

オーラール
Alphonse Aulard

1849~1928

フランス革命史家。ソルボンヌ大学のフランス革命史講座初代教授となり,共和主義的革命史学の樹立とともに史料編纂に尽力して,実証的な革命史学の始祖となる。主著『フランス革命政治史』。

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