お菊さん(読み)オキクサン(その他表記)Madame Chrysanthème

デジタル大辞泉 「お菊さん」の意味・読み・例文・類語

おきくさん【お菊さん】

原題、〈フランスMadame Chrysanthèmeロチ小説。1887年刊行。海軍士官として長崎に滞在した著者経験もとに、白人男性の「私」と日本人女性との短い同棲生活と別れを描く。米国の小説家ロングの短編蝶々夫人」は、本作影響を受けて書かれたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「お菊さん」の意味・わかりやすい解説

お菊さん
おきくさん
Madame Chrysanthème

フランスの作家ピエール・ロチの長編小説。1887年発表。1885年(明治18)海軍士官として長崎に寄港した作者は一夏を日本娘と同棲(どうせい)したが、長崎入港の光景から、当時の庶民風貌(ふうぼう)、生活様式など、多少グロテスクな光景に好奇心を燃やしながら描いている。しかし、こうした生活にもやがて倦怠(けんたい)を覚え、ふたたび新しい空のもとに新しい形を求めて立ち去る。『日本の秋』(1889)、『お梅が三度目の春』(1905)などとともに当時の日本を海外に紹介し、煙管(きせる)、箱枕(はこまくら)、行水(ぎょうずい)など、今日の日本からみればきわめて遠くなった当時の風俗を辛辣(しんらつ)に描いている。

[根津憲三]

『根津憲三訳『お菊さん』(1947・白水社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「お菊さん」の意味・わかりやすい解説

お菊さん
おきくさん
Madame Chrysanthème

フランスの小説家ピエール・ロチの小説。 1887年刊。海軍士官として 85年に長崎に寄港したときの体験をもとにした日記体小説。

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