日本大百科全書(ニッポニカ) 「レカミエ夫人」の意味・わかりやすい解説
レカミエ夫人
れかみえふじん
Mme Récamier, Jeanne Françoise Julie Adélaïde
(1777―1849)
19世紀フランスの社交家。公証人の娘としてリヨンに生まれる。愛称ジュリエット。15歳で、42歳の銀行家ジャック・レカミエと結婚。天性の美貌(びぼう)でパリの文芸サロンの花形となる。スタール夫人の親友として知られる。彼女のサロンには作家、画家のほか政治家も多く集い、ナポレオンに「閣議はいつからレカミエ夫人邸で開かれるようになったのか」といわしめ、アカデミー会員になるには夫人の助力を必要としたと伝えられる。コンスタンをはじめ多くの名士から愛を寄せられるが、1819年以降アベイ・オ・ボアAbbaye-au-Boisのサロンにシャトーブリアンを迎え、晩年はほとんど視力を失うが、この文豪への愛を貫いた。
[田部井玲子]
『菊盛英夫著『文芸サロン、その多彩なヒロインたち』(中公新書)』